本書は「日本の食と酒」の第七章大豆醗酵食品を下敷きにして醤油にまつわる歴史をまとめたもの、著者は京都大学卒業、農学博士、種智院大学名誉教授、専門は発酵醸造学
調味料の誕生
東アジア型食生活と調味料,旨味の発見、醤油とは大豆・小麦・食塩を原料に麹菌を培養・食塩水を加え醗酵・熟成、古代ローマ・日本・東南アジアの魚醬油、穀醤は濃い口・うすくち・たまり・再仕込み・白、醤油は①本醸造②混合醸造③混合、発酵に関与・コウジカビ・乳酸菌・醤油酵母、圧搾と火入れ、醤油の味と香り
古代日本の調味料
塩、朝廷でつくられた醬とは液体調味料、醤油の高家神社、宴会料理「大饗料理」
室町・戦国時代の調味料
寺院の食事は朝・昼・時に晩食、公卿の食事に味噌、日記に出てくる発酵食品・醤油・味噌・納豆
江戸時代の醤油
料理書にみる醤油ー「料理物語」「本朝食鑑」「和漢三才図会」と「本草綱目」、醤油の産地、関西醤油ー京都・湯浅・熊野・小豆島・大野、関東醤油ー野田・銚子・土浦、醤油屋の看板、醤油職人、醬油の輸送、「下り醤油」の復元はキッコーマンの「萬金産業袋」から、
日本醤油の海外輸出
ケンぺル、ツュンベリーの醤油報告、ティッツイングの酒と醤油報告、木の樽からコンプラ瓶、東インド会社商館記録からアジア全域に輸出、ヨーロッパ人による評価ーヘンドリック・ドウーフやフリードリッヒ・オイレンブルグの高評価、
手作り醤油
「交益国産日」ー自家醸造の記述、農文協の各地の手作り醤油調査・長崎江島の醤油、奄美の特異なソテツ醤油、
中国の醤油
清代の醬油ー「清俗紀聞」、満州の醤油ー満鉄中央試験場の中国の醤油調査、日本産の違い‣麺醤・下等品の製造法、中南部の醤油ー浙江・香港・漢口、台湾の蔭油、現代中国の醤油ー「固体低塩発酵法」
豆味噌と溜り醤油
「溜り」の登場ー建部清庵「民間備荒録」に「未醤」、「焚味噌屋仲間」から尾張の株仲間の存在、幕末の溜まり醤油は名古屋のキッコーナにある醸造絵巻に見る、明治時代の溜り醤油ー倉田喜起「醤油味噌溜り醸造新設」で「改良麹」を使って好結果、ニーラ溜りー再利用「番醤油」、現代の溜まり醤油ー豊橋の東駒屋と西駒屋、朝鮮半島でかっての「高麗醤」
近代の醤油醸造業ー明治以降の歩み
野田の東京醤油会社設立と海外輸出・問題は価格と量、醤油税導入、業界の歩み―戦前から戦中までー同業者による組合結成・会社化の動き、鈴木藤三郎の製糖から醤油業界転身・日本醤油株式会社設立と挫折、科学技術の導入、圧搾機の導入、工場建設と生産過剰、醤油の容器は陶磁器製の瓶へ、インスタント食品・粉末醤油、ハワイの醤油は山上信之「山上醤油醸造所」で開始、統制の時代は代用醤油・戦後は新式二号醬油、醤油のカビは産膜酵母、キッコーマンのアメリカ本土における生産、
最近の醤油
御用醤油醸造場は宮内庁ご用達、移築された醤油店は江戸東京たてもの園の小寺醤油店、嗜好の地域差、北海道・中国・九州の旨味や甘味、容器はPETボトルへ、ヤマサの「鮮度の一滴」はPID、
まとめ
成功よりも失敗例、水産学を学んだことから魚醬、図書館通いで満州・中国・台湾の醤油を取り上げており新たな特色を打ち出しています、旨い肴に旨い醤油で一杯いきますか、