本書は木版画に石版画・銅版画・油彩画の効果を取入れ、光と影と遠近・大気の表現にまで踏み込み、近代版画の先駆的役目を果たした代表作「東京名所図」を中心に、幅広いジャンルを手掛け、最後の浮世絵師と呼ばれる小林清親の魅力あふれる多彩な画業を紹介します
「東京名所図」光線画の誕生ー東京新大橋雨中図と海運橋 第一銀行雪中
暁方ー東京両国百本杭暁之図と萬代橋朝日出、夕景ー柳嶋日没と橋場の夕暮、夜景ー天王寺下衣川・東京小梅曳舟夜図・隅田川夜・御茶水蛍、花火ー池の端花火・隅田川中州水雷火・両国花火之図、両国大火ー浜町より寫両国大火と両国大火浅草橋、文明開化の光ー新橋ステンション・高輪牛町朧月景・日本橋夜
浮世絵師デビュー作ー東京江戸橋之真景と東京五代橋之一両国真景
文明開化の東京風景ー東京銀座街日報社・常盤橋内紙幣之図・九段坂五月夜・浅草蔵前夏夜・川口鍋釜製造図・虎之門夕景・川崎月海
内国勧業博覧会ー第二回内国勧業博覧会の表口・美術館噴水・互角堂、朝の光ー神田八雲神社暁と大森朝の海、雨上がりの光ー佃島雨晴と川口善光寺雨晴、夕景色ー本所御蔵橋・一石橋夕景・道灌山夕日暮・江戸橋夕暮富士・浅草田甫太郎稲荷・東京橋場渡黄昏景・多目伊希・神田川夕景・御厩橋雷雨、夜雨ー不忍池畦雨中図・箱根三枚橋雨・柳原夜雨、夜景ー今戸橋茶亭の月夜・五本松雨月・今戸夏月・今戸有明楼之景・浅草夜見世、炎の描写ー両国焼跡・久松町二テ見る出火・帝国議事堂炎上之図、橋のある風景ー元柳橋両国遠景・二重橋前場図三ツ又永代橋遠景・大川端石原橋・千ほんくい両国橋・隅田川枕橋前・大川岸一之橋遠景・滝の川池の端、雪景色ー両国雪中・池の端弁天・駿河町雪・小梅曳舟通雪景・墨田堤雪後・上野東照宮積雪之図・御茶の水雪・旧本丸雪晴、東京名所風景ー上野公園の画家写生図・春色・六角茶屋・上野公園内之景・梅若神社・瀧野川の図・湯島元聖堂之景・品川海上眺望図・堀切花菖蒲・亀戸梅屋敷・愛宕山の図・芝葉増上寺日中・桜田弁慶堀原・隅田川小春凪・根津神社秋色・大川富士見渡・隅田堤の花見・赤坂紀国坂、箱根・静岡風景ー箱根木賀遠景・箱根底倉湯本萬年橋・従箱根山中富嶽眺望・静岡竜宝山の景
花鳥動物画ー猫と提灯・画布に猫・鴨之図・石榴に葡萄・鶏にトンボ・柿に目白
戯画・風刺画
清親ポンチー清親放痴 東京谷中天王地・清親ポンチ 両国えこういん・清親ポンチ 東京芳町・清ち可保ん知 東京王子瀧野川・清親放痴 東京大川端新大橋・清親戯墨おどけ名所 隅田川、酒機嫌十二相ー酒機嫌十二相之内の陰で腹をたつ酒癖・理屈を並べる酒癖・連れを困らせる酒癖・独言を言う酒癖・機嫌の宜なる酒癖・三人上戸酒癖と目を廻す器械・圑圑ちんぶん 泰平腹鼓 チャンポン打交・米俵綱引きの図・圑圑珍聞 思想の積荷、教育いろは談語ー教育いろは談語のろ=論より証拠・は=話半分に聞け・い=医者の不養生、新版三十二相ー三都美人・西京舞子嘉代 大坂舞子一鶴 東京芸妓小吉・新版三十二相の過古ことをおもう他・まごあやし他・どもり他・ちわ喧嘩のあと他・亭主もどらぬかん他・あくび他・ やれやれくたびれた他・みとれる他、日本万歳 百選百笑ー日本万歳 百選百笑 豚の当惑・地獄の大繁昌・御注進へ・龍宮の騒ぎ・ちゃんへの肝潰し・ぶるへ退将・向かう處小敵なし・首っ引・北京の摘み草、社会幻灯 百選百笑ー社会幻灯 百選百笑の帰化の支度・開化振・大勝な勢い・細君の歓迎・兵士の帰村・人夫募集場所・老耄の航海・劉永福一死案
歴史画
日本外史之内ー日本外史の内の源為朝・後醍醐天皇・後醍醐天皇 名和長重・明智左馬之助光春湖水乗打唐崎松の図・楠正成・会津公・平忠盛御堂法師を捕る図・木内荘吾渡し場之図・山口城賊徒新聞、今古誠画 浮世絵類考之内ー今古誠画浮世絵類考之内に慶長五年之頃 細川忠興室 河北石見 小笠原勝斎・建武延元ノ頃今ヲ去五百五十年・宝永元ノ頃五代将軍徳川綱吉 おそ目 柳沢弥太郎・小学日本略史段の浦、教導立志基ー教導立志基の越前少将・織田信長・小野道風・上野毛形名・福地源一郎・袈裟御前
戦争画
西南戦争ー明治十歳鹿児島征伐図・新聞鹿児島事情、日清戦争ー我艦隊於黄海清艦撃沈之図・於黄海我軍大捷第二図と第四図・冒営口厳寒我軍張魯営之図・海洋島沖西京丸奮戦之図・雨中砲撃図・田庄台攻撃占領之図
美人画
古代模様ー古代模様の清少納言と紫式部、花模様ー花模様の寛永正保頃・享保・承応万治頃・延宝頃・安永頃・天明ノ頃・文化の頃田後の浦
風景画ふたたび
武蔵百景之内ー武蔵国百景之内の池上本門寺・深かわ木場・深川ふゆき弁天・下総真間つぎ橋・隅田川水神森・品川見越しの月・目黒不動・江戸ばしより日本橋の景・赤坂きり畑山王うら山・谷中団子坂菊・下総鳴の台市川の遠景・木母寺梅若神社・浅草寺本堂・両国花火・目黒いゑんひう蔵・水道橋茶の水・芝増上寺雪中・鉄砲洲高橋 佃島遠景・江戸見坂・小金井桜・東京墨田堤乃さくら・王子瀧之川・亀戸天満宮、日本名勝図会ー日本名勝図会の薩捶嶺・二見の浦・厳島・猿橋・松島・日光湯元温泉・江の島・小金井・清見潟・養老瀑布・裏見ヶ滝・観音崎・横須賀造船所・通天橋・嵐山・常陸桜川より筑波山を望む・神橋・中禅寺湖・陽明門・月ヶ瀬奥の谷・豊後耶馬渓 古羅漢寺・隅田川・吉野山・田後の浦
肉筆画ー川中島合戦図屏風・竜虎墨竹図
光線画後継者ー井上安治と小倉柳村
井上安治ー新𠮷原夜桜景・銀座商店夜景・浅草橋夕景・代官山之景・霊岸島高橋の図・永代橋・東京真画名所図会の赤坂紀伊国坂・駿河町夜景・永代橋際日本銀行の雪・銀座通夜景・柳橋夜雨・日本橋夜景、小倉柳村-日本橋夜景・湯嶋の景・八ツ山の景
まとめ
清親の描く浮世絵は、落ち着いた色調の作風で異彩を放ち、また失われつつある江戸情緒への郷愁を誘ったこともあり大いに人気を博しました、本書は「東京名所図」・浮世絵師デビュー・文明開化の東京風景・花鳥動物図・戯画・風刺画・歴史画・戦争画・美人画・風景画ふたたび・肉筆画、光線画の後継者を紹介しています