JIN Demo Site 8
My Natural Garden & Cafe

日本のワイン法 蛯原健介 書評

国産ワインと日本ワイン、違いは原料、本書は2015年以降、国税庁を中心に進められた法整備について、これまでの酒類関係法や業界団体の自主規制とも比較しながら検討、「日本のワイン法」の体系を明らかにしようとするものです、著者は立命館大学院博士課程修了、明治学院大学教授、専門は公法学、ワイン法

酒類関連法とワイン業界の自主規制

ワイン法とは何かー産地表示のルール、ワインに関する法律ー酒類業組合法、ワインの定義ー果実酒と甘味果実酒、ワイン造りに免許が必要、果実酒の製造免許ー法定製造数量、委託醸造という方法、ワイン特区ー構造改革特別区域法、何が足りなかったのかー地理的表示、業界団体の自主規制その限界ー「国産ワインの表示に関する基準」と自主規制、山梨県甲州市と長野県の原産地呼称制度ー①甲州市原産地呼称ワイン認証制度②長野県原産地呼称管理制度、「ワイン法」制定に向けてー「果実酒の製造品質表示基準を定める件」

日本の「ワイン法」の誕生

「ワイン法」の誕生ー「地理的表示」、強制力を持つワイン法ー酒類の表示の基準における重要基準を定める件、ワインの分類と定義①国内製造ワイン②日本ワイン③輸入ワイン、「日本ワイン」の定義、差別化される「日本ワイン」にのみ認められる表示とはー①地名②ブドウ品種③年号、「日本ワイン」以外の国内製造ワインは今後も残る、新ルールの狙いー①国際貿易の主要産品②国際的なルール③国内において生産④消費者の選択に資する、「日本ワイン」の原料ー国内で収穫されたブドウ

厳格化された日本ワインの地名表示

ワインの産地とはー醸造地、原材料の原産地ー日本産か外国産、ルール化された地名表示、畑とワイナリーが離れている場合ー醸造地表示認める、収穫地を含む地名であることが分かる方法とはー収穫地の地名・ブドウ品種表示、「表示する地名が示す範囲に醸造地がない場合」にあたらない場合とはー収穫地表示、醸造地の表示、会社名に地名が含まれる場合ー株式会社の表示、地名と紛らわしい人名ー人名認める、お土産ワインやPBワインー施設名、商標は地名表示のルールに服す

地理的表示

ワインの品質と地名表示ーヨーロッパ、なぜ品質要件が求められるのかー産地ブランドを保護、一般の地名表示との違いー知的財産、「公衆を誤認されるような方法」という前提、国税庁による地理的表示の指定・地理的表示の指定手続き、GI指定の要件としての「酒類の特性」ー①「酒類の特性」の確立とは実績②「酒類の特性が酒類の産地に主として帰せられること」とは酒類の特性が形成(自然的要因と人的要因)、産地の範囲・GIの名称・産地の範囲の重複を認める、GIワインの原料が明確で・産地内のGIワインの製法、GIワインの「製品」要件ー日本ワイン表示、特性を維持するための管理と管理機関の構成と業務、管理機関による「確認業務」、GI指定には全ワイナリーの同意が必要、パブリックコメントの募集、保護の効果はGIの使用による、商標・人名・会社名などとの調整、地理的表示の変更できる

GIワインの生産基準

日本版AOCとしての地理的表示、生産基準の構成のうち・地理的表示「山梨」の特性ーバランス、地理的表示「北海道」の特性ーフルーティ、「山梨」の自然的要因ー盆地、「山梨」の人的要因ー生食用で余剰ワイン、「北海道」の自然的要因ー冷涼、「北海道」の人的要因ー開拓殖産事業、「山梨」の原料ー収穫ブドウ、「北海道」の原料ー多種多様な栽培から選定した収穫ブドウ、「山梨」の製法ー県内製造方法、「北海道」の製法ー道内製造方法、より限定されたGIの可能性ー地理的表示ごとにワイナリー設置、海外のワイン法との比較ー製造品質表示基準に従って表示できる、地理的表示に生産基準は含まれていないが産地外醸造は認めない・官能検査義務付け、

ラベル表示のルール

「表示すべき事項」と「表示できる事項」、酒類業組合法に基づく表示義務、原材料・原産地、品種名の表示、収穫年の表示、表示の方式ー日本ワイン、業界自主基準における「特定の用語」の表示基準、消費者に誤認される表示の禁止

グローバル化の中のワイン法

日欧EPAと日本ワインー添加物と醸造法承認手続き、従来のEU向け輸出手続きが大幅緩和、EUで認められた日本ワインの醸造法ーEUで販売できる、今後EUで認められる添加物の段階承認、生産者による自己証明をもってEUでの販売認める、残された規制ー容器容量規制と同一産品に補糖と補酸を行うことはできない、アルコールの表示、変化するワイン市場ーチリワインが第一位、日本で「保護」される海外のワイン、日欧EPAによる相互保護、EU以外でも保護が必要、非GIワインのあやうさー国内で呼称保護が必要、日本のワイン法の課題ー日本ワインの品質を担保する法制度を構築することが重要

まとめ

2009年に「世界のワイン法」共著を出版、10年を経て本書の出版となりました,この間に日本のワイン法の状況は大きく変わりました、ラベル表示や地理的表示の運用状況とEPA情報盛り込むことができました、