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お酒の経済学 都留康 書評

本書は「日本の酒類の生産から消費まで」を経済学と経営学の視点から解説したもの、著者は一橋大学院博士課程単位取得退学、一橋大学名誉教授、

日本のお酒の現在

1高度成長から低成長、多様化へ、高度成長期の消費増大ー日本酒とビール、日本人の飲酒率ー男性73.6%,女性19.2%で家飲み、「失われた20年」の反転ーお酒の失われた20年、消費格差の出現ー最上層はワイン・ウイスキー、若者の酒離れにエビデンスはあるかー中年層の酒離れ、健康志向の高まり、選択肢の多様化ー減少しながら多様化、2法と規制、酒税法ー安定財源、税率格差は説明できるかー経済学的根拠なし、免許制度と規制緩和ー「需給調整要件」と「構造改革特別区域法」、EPAとGIーEU間との関税撤廃と地理的表示GI),免許規制緩和による革新、

日本酒ー伝統と革新

1長寿企業によるイノベーション史ー、平安時代に遡る日本酒メーカーは茨城の「郷乃誉」須藤本家、「複雑なものを単純にする」のが経済原則ー「平行複発酵」の軽減、①麹の開発で軟水醸造法と②速醸法ー乳酸の直接投入、灘・伏見2強体制と正社員化、同質化の罠ー桶買いと紙パック、「特級」から「大吟醸」「純米」ー精米歩合に応じ区分、2新たなイノベーションの2方向、高級酒志向、純米大吟醸酒への特化ー旭酒造のケース、通年生産と輸出戦略的ポジショニングー製品差別化、伝統回帰と地域性重視ー新政酒造のケース、純米酒のみで原点回帰、水平的差別化と意味的価値ー担い手は中小蔵元の若手中堅経営者、

ビールー「新ジャンルと「クラフト」との狭間で

1ビール産業の発展、醸造工程と歴史ー麦芽を糖化・醗酵させ作る、シュメール王国の記録・中世ヨーロッパでホップが入り・量産体制、日本のビール産業の歩みー札幌ビール・キリンビール・アサヒビール誕生、ガリバー型寡占ー3社で独占、「キリンラガー」対生ビール、アサヒ「スーパードライ」の衝撃、2発泡酒と新ジャンル、そしてクラフトビール、発泡酒と新ジャンル・第3のビールの登場、失われた20年と「底辺への競争」ー駆り立てたのは酒税法改正、グローバル・プレイヤーとの落差ー日本は7位、地ビールが残したものー冬の時代を耐え凌いだ醸造所‣箕面ビール「インペリアルスタウト」と小西酒造「スノーブロンシュ」、多様化が増し、愉しみ方が変化したーエールタイプとビアカフェ、

ウイスキーー国内外人気の光と影

1ウイスキーの世界市場と国内市場、ウイスキーができるまでーもろみを蒸留、世界5大ウイスキースコッチ・アイリッシュ・アメリカン・カナディアン・ジャパニーズ、圧倒的な寡占とクラフト化ー世界は①ディアジオ②ペルノ・リカール③ビームサントリー、日本は①サントリー②ニッカ、ジャパニーズ・ウイスキー誕生ー鳥居信冶郎と竹鶴正孝、国内市場の拡大・縮小・回復ーサントリー角瓶は級別制度廃止とハイボールブームで需要急増、2新興ウイスキー勢力の台頭、原酒不足を埋める2者ー①新興ウイスキー蒸留所の参入②蒸留器をもたないウイスキーメーカーの参入、新興蒸留所の3類型ー投資の懐妊期間が長い、日本酒メーカーの多角化型ー江井ヶ嶋酒造と木内酒造ー①先行者・江井ヶ嶋酒造・冬場は日本酒つくり・夏はウイスキー造り、②後続者・木内酒造はクラフトビール「常盤野ネストビール」醸造元でウイスキー製造、焼酎メーカー多角化型ー本坊酒造と小正醸造、①先行者・本坊酒造大手焼酎メーカー・竹鶴の成果を持つ岩井にウイスキーを任す、山梨に工場竣工、②後続者・小正醸造も大手焼酎メーカー、長期貯蔵米焼酎「メロ―コズル」の誕生から嘉之助蒸留所稼働、新規参入型ーベンチャーウイスキーと厚岸蒸留所①先行者・肥土伊知郎は秩父蒸留所建設、懐妊期間は実家の羽生蒸留所の原酒を販売、独自性は「内製化」にある、②厚岸蒸留所・堅展実業ーウイスキーにビジネスチャンスと憧れ,厚岸にたどり着く、非蒸留生産者をどう見るかー海外から原酒を輸入、国内工場でブレンド、情報の非対称性とその緩和の必要ー米国消費者には焼酎がウイスキー製法とは異なる認識なし、

焼酎ー三度のブームと停滞する現状

1誕生から本格焼酎ブームまで、焼酎の製造法歴史ー単式蒸留焼酎と連続式蒸留焼酎・泡盛から芋焼酎、第1次ブームー福岡市場を攻略した「さつま白波」ーロクヨンでお湯割りとRKB毎日のCM、第2次ブームー関西と首都を攻略した「いいちこ」ー大分の麦焼酎、東京駅のポスター、第3次ブームー黒霧島の躍進ー首都圏と大阪、ナショナルブランド企業の巨大化①霧島酒造②三和酒類③オエノングループ、2ブーム後の生き残り、焼酎バーの盛衰ー都心の焼酎バー閉店、焼酎の強みと弱みー食中酒とコモディティ階層の上層、競争優位の源泉とはー高い組織能力と戦略的ポジショニングに失敗

グローバル化ー現状と課題

1日本酒ー和食の壁を超えられるか、急増する酒類輸出、2回の拡大期ー海外現地生産、月桂冠のグローバル戦略ー量から質の転換を牽引する輸出、白ワインの亜種でなくー日本料理の壁を乗り越えること、2ビールー差別化は可能か、アジア進出、大手メーカーの戦略と課題ーM$Aの繰り返し、3ウイスキーー高い評価を維持できるか、ジャパニーズ・ウイスキーの国際的認知ーISCのカテゴリーで日本のウイスキーは受賞の常連、米国でサントリーが成功した理由ー牽引したTOKI、ミレニアル世代、フランスでニッカが成功した理由ーヨーロッパ代理店LMDWの役割、若い層に浸透、供給能力という問題ー新規参入、4焼酎ー遅れを取り戻せるか、霧島酒造のグローバル戦略ー高品質の食中酒にこだわる、三和酒造のグローバル戦略ー食後酒として焼酎を打ち出す、日本酒とウイスキーに学べー「庶民の和食」とのペアリング、

日本のお酒はこれからどうなる

1伸びるRTD(蓋を開けてそのまま飲める)、チュウハイかサワーかーチュウハイが全国区、サントリーやキリンが続々参入、リキュール規格はエキス分2%以上、スピリッツ規格はエキス分2%以下、補完財か代替え財かー独特の飲料、2酒類をを貫く共通性と差異、共通性ー規制産業、長期的な増加と減少のサイクルー日本酒→ウイスキー→ビール→焼酎→RTD、グローバル化ー日本酒→ビール→ウイスキーの順で輸出拡大、差異ー新規参入難易度ー免許規制の強弱、コモディティ化ー日本酒と発泡酒、プレミアム化ー地方の蔵元、多様性の一層の進展、参入規制緩和と攻めのグローバル化ー日本酒も焼酎も緩和すべき、日本料理とお酒の多様性を海外発信、

まとめ

本書の執筆のきっかけは公益財団法人・サントリー文化財団と一般財団法人・日本経済研究所における日本の酒類のグローバル化に関する研究プロジェクトである、日本のお酒の現在、日本酒、ビール、ウイスキー、焼酎、グローバル化、日本のお酒はこれからどうなるで構成、