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日本インテリジェンス史 小谷賢 書評

本書は①なぜ日本はインテリジェンス・コミュニティが拡大せず、他国並みに発展しなかったのか②果たして戦前の縦割りの情報運用がそのまま受け継がれたか、もしくは改善されたか、2点を軸に戦後日本のインテリジェンス・コミュニティ変遷秘史を描いたもの、著者は立命館大学卒業、京都大学院博士課程修了、日本大学危機管理学部教授

 

占領期の組織再建

1旧陸海軍のインテリジェンス、軍情報部の復活構想ー有末精三、GHQと旧日本軍人の情報ー米国暗号解読を知り旧日本軍人利用、2公安系インテリジェンス、警察と公安調査庁ー警保局に公安課設置、共産主義勢力の監視ーGHQの関心、外事警察の復活ー警備第二部

中央情報機構の創設

1内閣総理大臣の官房調査室、戦後日本のインテリジェンスの父・吉田茂ー村井順による官房調査室設置、CIAと緒方竹虎ー新情報機関設置構想・「日本版CIA」調査室、2村井闇ドル事件、調査室と外務省の対立ー村井闇ドル事件発生、トライアングルの瓦解ー吉田・緒方・村井、3ラストボロフ事件、ソ連の対日工作ーラストボロフ事件で対日工作発覚、協力者・情報源ー外務省の日暮信則、4内閣調査室への改編、組織の確立ー内閣調査室、内調の言論工作ー聞き取り調査と世論言論調査

冷戦期の攻防

1日本の再軍備と軍事インテリジェンス、陸上自衛隊幕僚監部第二部設置、調査隊(CIC)設置、特別勤務班(別班、ムサシ機関)ー金大中事件で発覚、2秘匿される通信傍受活動、通信傍受・暗号解読ー対日警戒から小規模組織、自衛隊の「別室」ー内調とつながり、警察庁の「ヤマ」(北朝鮮情報傍受)と拉致事件、3冷戦期の公安警察と公安調査庁、警察庁の隠密組織「サクラ」「チヨダ」、公安調査庁の東京五輪監視作業、4外務省の対外インテリジェンスー各省庁から外務省出向し外交官として情報収集、5迷走する秘密保護法制、スパイ防止法の見送り、岸信介と石田博英ー日米安保最優先・秘密保護法見送り、核は持ち込まれたかー西山記者リーク事件、6ソ連スパイ事件、KGBの手に落ちた元陸自陸将補ー宮永幸久、親日的なスパイーレフチェンコ、7ベレンコ亡命事件ー警察が国内事件として処理、8秘密組織「調別」と大韓航空機撃墜事件、米軍・NSAとの共同作戦ー別室が調別となり米軍・NSAと共同作戦、中曽根と後藤田の決断ー大韓航空撃墜の自衛隊による通信傍受テープ米政府に渡す、9中央情報機構の再編、「情報が回らない・上がらない・漏れる」ー判断は各省庁に委ねる・合同情報会議⁻英国モデルを模しただけ

冷戦後のコミュニティの再編

1冷戦後の公安組織、北朝鮮の脅威に無防備、地下鉄サリン事件は刑事警察、日本赤軍は警視庁公安部、イスラム過激派テロ―外事第三課新設、公安調査庁のの対外進出ー「団体規制法」、検察・警察のくきびー公調の長官と次官は検察官、第一部長が警察官僚、2米国からの自立とコミュニティの統合、「日本版007」外務省のIASー鈴木宗男事件で国際情報統括官組織へ改編、防衛庁情報本部の誕生、制服組の反発、イラク駐屯を受け陸自の中央情報隊設置、内閣衛星情報センターの創設、米国の圧力、国産の情報収集衛星導入、3中央情報機構の改革ー合同情報会議を内閣官房の正式機関と位置づけ、4インテリジェンス改革をめぐる提言、庇護者・町村信孝ーインテリジェンス調査会設置、英国のMI6モデルに準じた対外情報収集機関の設置、第一次安倍政権の「予言の書」ー「官邸における情報機能の強化の方針」、5冷戦後の機密漏洩事件、秘密保全体制の弱さ、防衛庁・自衛隊の情報漏洩、イージス艦情報漏洩事件、

第二次安倍政権時代の改革

1特定秘密保護法、政官トライアングルの再来ー特定機密保護法と国際テロ情報収集ユニットとして結実、民主党政権による検討ー「政府における情報保全に関する検討員会」設置、自民党政権による制定ー「特定機密の保護に関する法律」成立、特定秘密とはー特徴的な特定有害活動防止、罰則規定と秘密の開示制度ー報道機関と30年で国立公文書館に移管、情報監視審査会、公文書管理監、会計検査院ー欧米は議会監視院会が活動を監視、日本は政府の特定機密を監査、2国家安全保障会議(NSC)と国家安全保障局(NSS)、新たな顧客の誕生ー国家安全保障会議と国家安全保障局設置、内調とNSSの関係ー内調は集約、NSSは取りまとめ、米・英との違いー米英は政策と情報の統合、内調は情報とNSS(政策)を結びつける、3国際テロ情報収集ユニット(CTU-J)、外務と警察との攻防ー国際テロ情報ユニット設置、CTU-Jの任務ー対外情報機関、対外情報機関の先駆け

まとめ

公文書が全く整備されてない状況で、国会議事録・二次文献と実務家インタビューによる戦後日本インテリジェンス・コミュニティの通史となっています、

 

 

 

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