本書はさまざまな紛争地での取材をもとに和解をめぐる物語である、著者は国際基督教大学卒業、米国ジョージメイソン大学で修士・英国ケント大学で博士号取得、早稲田大学教授、
カンボジアー和解の旅の起点
①和解の背景、内戦の概要、和平プロセス、権威主義的体制の確立、特別法廷、移行期の正義、②和解の旅、旅の始まり、国際選挙監視活動、権力に抗う覚悟、除隊兵士支援、足を失った元兵士、ボルボト派から逃れた難民、③和解の景色、正義を追求する道、誰と和解すればいいのか、過ちをどう伝えればよいか、
南アフリカー和解を考える旅
①和解の背景、アパルトヘイトの概要、和平プロセス、構造的暴力としてのアパルトヘイト、真実・和解委員会②和解の旅、和解の成功例の実態、黒人居住区「タウンシップ」、心の中の見えない壁、③和解の背景、政治的妥協の産物、異なるスタートライン差別を語る言葉の束縛、
インドネシアー民主化という名の和解
①和解の背景、スハルト開発独裁、独裁から民主化へ、独裁後の正義の追求、②和解の旅、独裁末期の教育現場、父の仇との和解、独裁者スハルトの功罪、人質解放交渉、③和解の景色、民主化という名の回避術、うやむやにされた軍部の責任
アチェー和解に優先する復興
①和解の背景、内戦の概要、イスラム法(シャリア)、日本の対アチェ外交、スマトラ島沖大地震と和平気運のたかまり、インドネシア政府の目論見、ヘルシンキ和平合意秘話、仲裁者の立ち位置②和解への旅、イルワンディとの密会、なぜ独立を諦めたか、末端のゲリラ兵、体制派の人々の声、裏切り者③和解の景色、既得権益の再配分、政治的和解を促した選挙制度、和解の理想形、少数派のなかの少数派、
東ティモールー和解の二局面
①和解の背景、東ティモール略史、インドネシアの軍事侵攻と抵抗運動、1999の住民投票、和解の二局面、国連の平和構築支援、インドネシアとの和解、受容・真実・和解委員会,2006年の政治・治安危機、②和解の旅、重大犯罪に対する特別法廷、受容・真実・和解委員会の公聴会、コミュニティ内の和解、③和解の景色、社会に潜む根深い対立構造、対立を助長した言語政策、政治と治安部門改革、政治主導の和解と金による解決1
スリランカー多数派勝利後の和解
①和解の背景、内戦の概要、多数派シンハラの驕りと恐れ、和平仲介の失敗、和解の地政学、②和解の旅、日本の仲介努力の特徴、和解を阻む要因、タミル・エリートの本音、内戦の犠牲者たちの声、敗者となったタミルの虎たち、タミルの虎の元幹部の証言、③和解の景色、スリランカ式解決法、炭鉱のカナリア
ボスニア・ヘルツェゴヴィナ―民族という火種は消せるのか
①和解の背景、多民族国家ユーゴスラビア連邦、内戦の概要、スレブレニッアの虐殺、デイトン和平プロセス、旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷、②和解の旅、サラエボを目指す車旅、戦時下のザグレブ、念願のサラエボ入り、橋は再建されても民族の壁は高い③和解の景色、分分断による平和、平和強制の後の和解の課題、殺しあった隣人同士の和解、戦争の記憶を残すことは和解を妨げないか、
キプロスー分断から和解は生まれるか
①和解の背景、キプロス略史、内戦の概要、国連キプロス平和維持隊、②和解の旅、緩衝地帯を往来する、南北「国境」を超える、解決より現状維持、民主制の難しさ、南北共存に向けた取り組み、両民族が共有する文化遺産、③和解の景色、別れて住むということ、
ミャンマーー軍事政権との和解
①和解の背景、内戦の概要、多民族国家の難題、ロヒンギャ、民主化の兆しとクーデター、②和解の旅、アジア最後のフロンティア、束の間の平和、仏教徒ネットワークとZ世代、なぜロヒンギャは差別されるのか。人道支援原則、③和解の景色、軍事政権と民主化勢力の和解、和解を妨げたもの、鍵を握る政治的和解、
現場で考える和解への道
①見聞録を振り返る、カンボジアの和解~ミャンマーの和解②和解を阻む障壁、紛争の要因としての権力闘争、和解を阻んだ強硬姿勢、民族や宗教の違いは和解を妨げるのか、和平のための理論、軍の文民統制を確立する③和解の処方箋、和解への道筋、権力闘争の穏健化と民衆の不満解消、和解の第一歩、民主主義は和解を促すのか、国際社会の役割、日本の取り組み、④和解の旅の終わりに、過去からの解放、和解の終着駅
まとめ
①カンボジア②南アフリカ③インドネシア④アチェ⑤東チモール⑥スリランカ⑦ボスニアヘルツェゴビナ⑧キプロス⑨ミャンマー、⑩現場で考える和解の道、和解に向けた取り組みは基本的価値観に基づいた世界観で追求されたが、限界を浮き彫りに、共に生きていくことができれば和解のイバラの道は開ける、