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絵画

酒井抱一 玉蟲敏子 書評

酒井雅樂頭家に出自、出家遁世し市井の雅人、表現活動において絵画と俳諧、賛否こもごもに分かれる評価、ようやく知名度が上がってきた酒井抱一について、もっと抱一について知りたい人向け、文化的背景と画業を解説しています。著者は東北大学院博士課程修了、現在武蔵野美術大学教授、日本美術史専攻

酒井家時代

兄の文化サロンで育まれる才能、兄・宗雅のプロ並みの書画「兎図」と「富士山図」、抱一の画業の開始ー浮世絵「布晒し図」「美人蛍狩り図」・歌川豊春に学ぶ、遊びの文芸に登場する抱一「画本虫撰」「絵本言葉の花」「手拭合」「吾妻曲狂歌文庫」、

隅田川河畔へ

光琳‣乾山草花絵の始まり「住吉太鼓橋夜景図」「月に秋草図」「燕子花図屏風」「桐図屏風」「百合立葵図押絵押絵屏風」、江戸と上方の光琳風継承・江戸の系譜は立林何帠と俵屋宗理、上方は中村芳中と渡辺南岳、雲母摺絵は「梅枝甲」「燕子花」、宗達の「蓮池水禽図」と抱一の「白蓮図」

鶯の里

根岸の里に転居、多彩なプロジェクトの展開「桜図屏風」「四季花鳥図屏風」、女性文人の活躍-抱一と小鸑の場合は「抱一上人」「墨梅図」「桜花図」、抱一の麗しい仏画「観音像」「日課観音像」「青面金剛像」,抱一プロデュースした光琳百年忌の記念事業は、展覧会開催・研究図書と図録出版・後援は酒井忠実、光琳へのアプローチ①銀地の発見「波図屏風」と②デザインの転用「四季草花蒔絵茶箱」「十二か月花鳥図屏風」「目白蔓梅擬蒔絵軸盆」、抱一の関わった人々は幕臣・諸藩の藩士・町人・富農層、

雨華菴の上人

円熟の日々・充実の作画、抱一の美学「四季花鳥図巻」を中心に・春夏秋冬、「絵手鑑」の語るもの「蓮池に蛙図」「南瓜図」、抱一の多面性ー①若冲と抱一で「玄圃瑶華」参照、②細密描写に挑む「秋草鶉図屏風」・「絵手鑑」青緑山水図、③名所景物で「絵手鑑」江の島図、𠮷原月次景物図、④王朝美への憧れで「絵手鑑」官女図・「五節句図」・「小朝拝」・「菖蒲輿」、抱一の美学「夏秋草図屏風」を中心に「夏秋草図屏風」「風神雷神図屏風」、美意識の解析①可憐な草花の愁い②細工的な表現③時間の推移の表現④月光の表現ー水墨から銀地へ「松風村雨図」「紅白梅図屏風」「白繻種地紅梅模様小袖」⑤絵合わせの趣向「四季花鳥波濤図小屏風」、⑥会心作に込めた思い、

大江戸の花鳥賛歌

十二か月花鳥図シリーズ成立、「白梅・紅椿・鶯グループ」は宮内庁「一月」、畠山「四月・六月・十月・十一月」、宮内庁「三月・五月・十月」、「朝日・白椿グループ」はプライス「一月・七月」、亀田「三月・九月」、ファインバーグ「九月・十月・十一月」、香雪「六月・七月」に分けられる、

鈴木基一とその弟子活動

逸材・基一の眼-伝統の変革「群鶴図屛風」、幻想性の追求「花菖蒲に蛾図」「柳鷺図屏風」「夏秋渓流図屏風」、デザインと趣向①-蒔絵硯箱と屏風絵の交流「樵夫蒔絵硯箱」「魚樵図屏風」、対決 基一の「朝顔図屏風」と抱一「八橋図屏風」、デザインと趣向②ー絵の中の絵「三十六歌仙図」「月に雁・秋草図」

まとめ

抱一は、酒井雅樂頭家出自、出家遁世、絵画と俳諧に通じ、酒井家時代から隅田川河畔へ、鶯の里に転居、雨華庵の上人「雨華菴」の庵号を用い、大江戸の花鳥賛歌「十二か月花鳥図」を描きます。鈴木基一は抱一の弟子で伝統の変革者、幻想性の追求、葛飾北斎につながります。