京都の食文化はどのようにして形成されてきたのかを追求したものです、著者は京都大学院修士課程修了、京都府立大学教授、京都和食文化研究センター副センター長
京の風土
「夏厚く冬寒い街ー京都は盆地、夏の暑さで祇園祭、夏の京都の鱧料理、冬の比叡おろし、京の冬のすっぽん料理、水の都ー京都の鴨川、右京の桂川、京盆地の地下水、水でできている京の食、盆地にできた街ー京都盆地の地理学、日本列島の東西の境界、東山・西山・北山、山の京都、サトイモ、山椒、クズ(葛)とワラビ(蕨)、柚子、川魚の街ー川魚、川魚料理店、コイと鯉揚げ、鮒ずし、京都盆地の閉じた空間ー京の野菜、もう一つの循環
京都と京都人
「先の大戦は応仁の乱」-京都人気質、被災の街「応仁の乱」京都、神社仏閣、京の米と酒ー京都の米の品種、酒に水・麹に麹座、京の酒蔵と造り酢(友禅染の色止め)、京都人は「しまり屋」ー外食しない京都人、ブブづけの言説、商業と家内工業の街ー洛中の構造ー丸竹夷=東西に走る通り、西陣の家内工業と食文化、大衆食堂の系譜・おばんざいの文化、洛外ー京野菜の風土ー洛外と野菜、山の京都の日常の料理、野菜と山菜、京都人の買い物ー洛中と洛外をつなぐー流通と降り売り、錦市場、市内に残る商店街、パン食とコーヒーの街・京都-京都人はサンドイッチ文化、コーヒーと喫茶文化、学生の街・京都、京都のラーメン、京都の中華、京の比較文化論ー東京人のあこがれと羨望、縄文文化は異文化、京都と大阪の比較文化学・プライドと共通項、京都人と「京都嫌い」「イケズの京都人」
公卿の流儀、武士の暮らし
食と季節ー歴の上の約束事・季節に依存、季節と季節感・旬のもの、季節感を演出する店ののしつらえ、季節と連帯意識・共感、京の行事と食、京料理とは何かー京料理と五体系(精進・懐石・おばんざい・大饗・本膳),京料理のエッセンス・会席料理、公卿の料理、武士の料理ー公卿の料理は「都の蓄積」、武士の料理は本膳料理、精進料理ー禅寺と精進料理、ブームになりつつある精進料理、精進食としてのダイズ、京の味噌、京の納豆、卵と鶏卵、お茶の京都ー茶樹と茶葉の生産、茶文化街・京都、京の菓子ー京の和菓子文化と和菓子店、甘味は果物・はちみつ・あまずら煎・飴・甘酒から得られた、茶菓子、砂糖渡来、京の豆菓子餡と小倉餡、
京の求心力と京ブランド
京の料理店ー京の名前がブランド、京の料理店の実力、客が決める料理店の水準、鯖街道ー京の海魚ー芋棒・棒鱈・にしんそば、京の塩鯖と鯖寿司、昆布の道と北前船、京野菜というブランドー京野菜とは歴史と品質、高島四郎により京野菜・市民権を得る、料理屋と農家の交流、京野菜を守るということは種子の管理、伝統行事が守る京野菜たち、京のトウガラシ、京のネギ、京の漬物、
京の食文化-その未来
京の食の行方ー空洞化する京の食、京の食を守れ「当事者意識」「自覚と誇り」、観光と食ー観光客であふれる京の街・ずかずかと居住空間に入りこむ、観光客の食に対する「面倒」という感覚、ポストコロナの京の食ー災害の世紀来る、コロナ禍、仕出し文化の復活を、京の防災の知恵・非常食、京都の食文化はどこへゆくか「残したいもの」はなにか
まとめ
食文化から見て京都は興味深い街、和食文化研究学生とのフィールドワークが増えた、これを文章にしたかったのが本書執筆の動機です、京の風土、京都と京都人、公卿の流儀、武家の暮らし、京の求心力と京ブランド、京の食文化―その未来で構成
盆地にできた街