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絵画

中国絵画入門 宇佐美文理 書評

本書は中国絵画の流れを一本筋を通じて記述したいとの思いから気と形「造形作品」として中国絵画史が書かれている、入口を見つけて中国絵画を見ていただきたい、著者は京都大学院博士後期課程研究指導認定、京都大学教授

気の表現の概要

気を直接表現するー後漢祠堂のレリーフ、内面の気の表現ー王庭筠「幽竹枯槎図」、人物の精神性の表現ー「帝王図鑑」、早春の気ー郭煕「早春図」、筆墨の気枯ー伝顧愷之「女史箴図鑑」

気と形

気とは何かーもと・空気、形とはー絵画の発生、気と形―「早春図」、気象という発想ー形がない気が形をとって現れる、

効用第一の時代、あるいは「地下」の時代ー漢まで

絵画の起源⁻伝説と現実ー「河図洛書」と「書画同源」、画面上絵画は苦手、地上での任務、あの世での効用ー祠堂・馬王堆帛画・昇仙峡・祠堂の図像、混乱した解釈は文献のなさ・画像磚、魂魄のゆくえ、絵画についての重要な言説ー荘子の庖丁、形而上・道と形而下・器、道と形

気の時代ー六朝時代

気韻の登場ー「気の評価論」の登場、生き生きとした形ー洛陽の石棺、精神の表現ー虎と羽人、筆線の気、人物に従った作品、題材の変化・山水、六朝時代の山水画の実情、仏教との関係、絵画の機能、壁画の伝統、

花ひらく多彩な絵画世界ー唐代

敦煌壁画という奇跡、西域の影響、線と形―菩薩の手のひら、奥行きを持った山の表現、地獄の図像、呉道玄の登場ー「筆意」、皴法(ひび割れ)という発明、いろいろな皴法、樹石画登場、逸品画風と人格主義

山水画の時代ー五代から宋代へ

山水画の隆盛ー董源のおだやかな山の形、平淡天真ー巨然の作品、北宋山水画というピーク、郭煕ー五代北宋山水の集大成「早春図」・行旅図としての山水画、墨竹ー墨で描いた竹の絵、胸中の丘壑ー文人の精神、小景画と「誌画一如」ー恵崇「春江晩景図」、鑑賞の仕方の変化ー鑑賞空間、風景とは「風と光」、時空と絵画「詩画一如」、詩の解釈と絵画、風景を描く絵画、蘇東坡、天工(自然な技巧)と清新、緻密な絵画ー張拓端「清明上河図」、蘇東坡が存在した=マルチ芸術家という事実の重要性、戯という考え、

天才・牧谿の世界-南宋

南宋院体画ー李唐「山水図」、牧谿という天才ー光の絵画、絵画に表現された「静」、南宋の花鳥画ー透徹した精神性、花鳥画のー毛松「猿図」、絵画との対話、南宋人物画、俯瞰視する絵画ー伝李嵩「西湖図鑑」、地図山水の描き方、地図か山水画か

元末四大家の登場ー元という転換期

元初の状況ー鄭思肖「蘭図」で抵抗、復古的絵画ー銭選「山居図鑑」、元代李郭派ー唐棣「倣郭煕秋山行山図」、元末四大家の登場ー黄公房・倪瓚・呉鎮‣王蒙、すなおな形、黄公望、元末四大家持った意味ー名画家、文人の気象

爛熟期の絵画群ー明代

浙派が求めた院体画、浙派の大気表現ー戴進「春山積翆図」、狂態邪学ー鄭顚仙「柳蔭人物図」、画院と士大夫ー石鋭「探花図鑑」科挙合格、呉派の登場ー元末四大家に学ぶ、山水を描く意味の変化ー身を置きたくなる山水、画中人物がいない意味は理想郷、呉派のもう一つの構図ー沈周「廬山高図」、呉派の工夫、贋作の問題、模写の技術レベル、摸本・あるいは複製の価値、文微明ー「雨余春樹図」、落ち着きとわざとらしさー呂文英「江村風雨図」、浙派と呉派の折衷ー謝時臣「楼閣観瀑図」、浙派の描く米法山水、董其昌という転機、画家としての董其昌、晩明変形主義、新しい形、画譜の登場

伝統絵画の終焉ー清代

清初の遺民画家ー八代山人「安晩帖」、西洋画の影響、文人山水画の終焉ー「四王呉惲」六人の画家、清朝の山水画⁻最後の光芒、「揚州八怪」八人の画家、伝統絵画の終焉へー鄒一桂の蘇東坡批判、惲寿平「没骨画」と色の発見

まとめ

ここ数年展覧会で中国絵画名品に触れる機会が続いている、足を運んでもらえればと思います、本書は入口への看板にすぎません、