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政治

ロシアの眼から見た日本 亀山陽司 書評

本書は戦争と平和の問題について考え、ロシアの視点から明治以降の日露関係史を振り返り、国防と将来に向けた展望を考察した、著者は東京大学大学院総合文化研究科修了、外務省ロシア課勤務、ロシア外交に携わる、2020年退職し林業のかたわら執筆活動に従事、

ロシアの眼から見た日本ー主権国家と衛星国家

相反する二つの日本観、独自文化とアメリカの衛星国、ロシアは日本をまっすぐにみているか、アメリカとの関係、菊と刀・自動車とスタンダードミサイル、日露戦争というトラウマ、スターリン演説、ロシアは「無法者」か、法は道具、巧みな理論武装、忍耐強さの源泉、社会生活、敵を知ること、優位に立つ、「無法国家」と「主権国家」は同義?主権国家とは、原理的にはその上にいかなる存在もない至高の存在、正義にかなった世界は可能かーロールズ「万民の法」、資格要件は自らの主張を押し通す意志と実力を持っていること、世界は恒常的な「戦争状態」、「モスクワは涙を信じない」、国家間の約束はどこまで有効かースピノザ「国家論」法的拘束力はあり得ない、秩序の源泉は多数者の圧力、信頼と不信の政治力学、国際連合と集団安全保障、「ツキディデスの罠」ー防衛力の強化がリスクをもたらす?「合理的」な選択肢としてのウクライナ侵攻、国際秩序は法でなく権力によって維持されている、国家間の社会契約とは「軍事的な同盟条約」である、ロシアは日本との対等な友好関係を求めていない、ロシアは「帝国」になることを求めているか、ロシアは多民族国家であるが、ロシアの中心的民族はロシア民族、中心的文化はロシア文化であると考えている、

揺籃の日露関係ー対立から同盟

明治日本と主権国家の問題、天皇を控訴したイギリス、日英通商航海条約、樺太はなぜ放棄されたか、国境の安全、成功した樺太千島交換条約をめぐる交渉、「利益線」と「主権線」、朝鮮における日本の利権の保護、極東の「地政空間」、富国強兵政策は自らがアクターになることを強烈に志向した国家戦略、なぜ日本はロシアと有効な合意を結べなかったか、朝鮮を日本の緩衝地帯、大きくぶれた日本の国際秩序観、ロシアの覇権阻止とその空間での覇権国、近代日本外交の始点、農民反乱を奇貨として朝鮮出兵、日清戦争と極東の秩序の解体、清国に対し朝鮮の独立承認、「利益線」をめぐる攻防、ロシアとの間で朝鮮における勢力圏分割、極東の覇権を求めるロシア、義和団事件で満州制圧、何が日本に日露戦争の開戦を決意させたか、ロシアの南下政策に対抗、「代理戦争」としての日露戦争、日米英と露仏、アメリカとの幻の南満州鉄道シンジケート案、小村寿太郎仮協定撤回、例外的な友好ー日露協約の時代、国交回復・日露の勢力圏画定、大国と認められ利権分配の仲間入り、「特殊利益」保護のため協働する日露、ノックス提案拒否、朝鮮半島が日本の領土に入ったことの意義、日本の支配権完全確立と緩衝地帯・満州、日英同盟から日露同盟へ、特殊利益を内蒙古へ、協力者はイギリスからロシアへ、軍事同盟化と協約範囲を中国へ、日露同盟の完成と対華21か条要求、

不信に支配された関係ー覇権か均衡か

「帝国国防方針」に見る第一仮想敵国の変化、1907年のロシア・アメリカ・ドイツ・フランス~、1936年のアメリカ・ソ連・イギリス、対中政策の二転・国内混乱から中国全土、シベリア出兵に至る道、英仏の白軍支援と日米に出兵要請、チェコ軍救出名目でシベリア出兵、「危険な存在」としての日本、弱体化させるもの、ワシントン体制の時代、日本の海軍力制限と日英同盟解消、協調外交はなぜ批判されたのか、中国に対する徹底した内政不干渉政策、高まる「覇権」への機運、中国が勃興、ソ連の脅威、米英の後退、黙認されていた満州国の独立、権力秩序として確立、リットン報告書に見る当時の政治的現実、利害の衝突場所でソ連の影響力、報告書が示す現実的解決指針、現実を配慮した新たな体制の構築、リットン提案とミンスク諸合意の比較、現状変更勢力力・アメリカ、睨みあう日本とロシア、ノモンハン事件、「欧州の天地には複雑怪奇現象」独ソ不可侵条約、三国同盟背後に見えるソ連の存在、ソ連の提携の手段として、日独伊ソ構想、「アジア・モンロー主義」とは何か、大隈重信から大東亜共栄圏へ、東亜新秩序―アジアモンロー主義が行き着いた先、極東の「アクター」から降りた戦後日本、日ソ国交回復の真の意味、日本がアメリカの衛星国であるとソ連が認めたこと、日本に決定権のない北方領土問題、極東地政空間における米ロの戦略、アメリカは覇権的秩序の確立をさけること、ロシアは追い出すこと、潜在的な敵国・日本、もしもアメリカが極東政策から手を引いたら、日本を押さえたい、

日本の国防を考えるー可能性としての戦争を生き抜くために

現実世界は「アメリカ一極」か、南北アメリカ・NATO.東アジアの一部、多極的な世界での「安定した均衡」とは、「同盟」とは平和と安定にとって両義的、抑止と永遠平和、相互の抑制による抑止、国防の罠ー合理的行動が危機を招く石原莞爾目指した「国防国家」、日本はどうゆう世界を是とするか、ビジョンの問題、「専守防衛に基ずく必要最小限の軍備」とはどの程度か、国連は侵略行為を認めない、主権国家に決定権、日米安保条約の本質、アメリカの対外政策に完全に従属、衛星国であるということ、国防体制がアメリカの極東政策に依存、「台湾有事は日本有事」か、ウクライナ侵攻の教訓、国家安全保障における外交力の重要性、「調整による平和」のための外交、モーゲンソーのテーゼ、「協調的均衡」のための五つの前提、①価値のない権利を捨て去れ、②面目を失う場に身を置くな、③弱い同盟国は強国に代わって意思決定するな、④軍隊は手段、⑤政府は輿論の指導者で奴隷ではない政治的英知によって安全保障を考えること、「バランサー」としての日本、現代の「小日本主義」、可能性としての「戦争と平和」、

まとめ

①ロシアの眼からみた日本、②揺籃の日露関係,③不信に支配された関係、④日本の国防を考える、日本がアメリカの衛星国でありながら、外交努力を怠り、強硬姿勢とるならば国を誤る原因となる、