道草を食うことが好き、最初のエッセイ本は「食生活を探検する」、本書はエッセイのなかから単行本の収録されないのもを集め作成したもの、著者は京都大学卒業、農学博士、国立民族学博物館名誉教授、
日本と世界の食文化をめぐって
食養生の文明と文化ー文化によって異なる健康食品ー犬の食用、文化論と文明論、医学・薬学の文明論、宗教の文明、国家の学としての国民健康論から世界文明と個人が直結した現代海藻の食文化ー日本、塩なし漬物考ー漬物の先行形態、香菜ー悪臭の香菜のお浸し・なんきんむしの臭い、中国は西域伝来の作物・日本に三度伝来、「まむし」と「半助」ー鰻の東西、万葉グルメー長意吉麻呂の歌、落語の中の食文化ー時蕎麦のルーツ「米朝落語全集」、石毛流「貧乏花見」ー「持ち寄り散財」、「ちりとてちん」で発酵豆腐、ピリピリー東アジアの辛い味ートンガラシ、パロロの味ーサモアの美味「ウマイ」、タガメとチャーカーは炒飯のようなべトマム料理、バロッてなんだーフィリッピンでアヒルの孵化前ゆで卵、特別天然記念物の味ーオオサンショウウオ、、食べ物のかたちー温度と食具ー手食が困難な食べ物、東アジアの食具と料理ー箸の文明、型の美学ー型の観念、料理の写真ー写真に食べさせる、秘め事としての食事と社会的分配、ストロボで雰囲気ぶち壊し、神のいない祭りー食事行動の儀礼性
随想ー新聞コラムより
ちびた庖丁ー母から引き継いだ、堺の庖丁ー庖丁職人、食のコミュニケーションーニューギニア高地で「食べろ」、熱帯で読む木版本ー十八史略ーフィールドワークの読み物、転ばぬ先の杖はニューギニアで手に入れる、個人的映像ー大腸ポリープ、自己の証明ー民博館長時代、なかはどうなってるのー「民族資料をX線でみたら」、京都ブランドーマクワウリ、まわり道ー基礎研究、ラブレターと万年筆、ミンゾクガク・族と俗、年寄りになることー時の流れ加速化、秋祭り今昔ー氏神さまと氏子、お子様ランチー日本の発明、道草のすすめー回り道・途中下車、
思い出の人々ー研究の先達、独創的な天才
篠田学と「すしの本」ーすしの研究のエッセンスをまとめたもの、一連の業績で日本と中国のすしの研究は古典的完成を見た、篠田統先生の印肉入れー形見の品と「篠田文庫」、食文化と中尾さんー梅棹研究会の共同メンバーで民族植物学者と称した、中尾さんと篠田さんーENERGY「食事文化」で中尾さんと仕事、篠田さんに「主食と文化形」寄稿してもらう続編としての「料理の起源」ー「栽培植物と農耕の起源」の続編にあたる、情報の欠落した領域ー料理本の欠落を民族誌や旅行記で集める、方法論ー類型論を系譜論にまとめ、「穀物料理の一般法則」、ナットウの大三角形ージャワ・ヒマラヤ・日本、乳加工の系列ー乳製品の加工過程を系列として把握、「週刊朝日百科 世界の食べ物」で「ビバレッジの仮説」・「世界の食べ物」は辻静雄・中尾・石毛が全巻監修、
知の探検家・梅棹忠夫ー「モゴール族探検記」海外遠征記録、中洋の発見ーアフガンからインドの旅で「中洋」の概念、文明の生態史観ー第一地域と第二地域、生態学的アプローチー条件が違えば進化の過程は異なる、情報産業論ー時間論から「コンニャク情報論」、自然科学から人文科学へー探検からモンゴル研究・戦後はおたまじゃくしと切手や柳田の著作読破、知の技術の実践者ー梅棹の明晰な文体「狩猟と遊牧の世界文章⁻自然社会の進化」と「知的生産の技術」、探検が原点、悼む梅棹忠夫さんー知の世界の構築、京大式カード収納箱ー結婚祝いにもらう、食文化を追い求めた執念の人ー安藤百福ー年をとってから成功ーチキンラーメンの発明、食に関する研究始めるー「日本の味探訪・食足世平」出版、麺の起源を求めてー麺ロード調査団、子供たちが健やかに育つ世界を築くためにー「安藤スポーツ・食文化振興財団」設立、南方熊楠とわたしー型破りの人物像に魅了される、違いは南方の偏食家にある、究極に挑んだ人⁻辻静雄ー最後の著作が「究極に挑んだ人」研究者・教育者・美味探求家、著者が世話人となった泉屋クラブのことー皆勤の司馬遼太ー、小松さんは「神サマ」ですー「日本アパッチ族」読んで小松ファン、SF超えた芸術的感性ー小松左京、桂米朝さんを悼むー「地獄八景亡者戯」の情景を確かめに旅立つ、またお会いしましょうー桂米朝「近日来演、桂米朝」
まとめ
専門家を対象とする学術論文は、問題提起、展開、結論、注や参考文献を付記、個性がない、もの書きにとって楽しいのは型にしばられない遊びのある文章、新聞のコラムにエッセイを執筆することが文章つくりの修行となった、本書は食文化、新聞コラム、思い出の人々で構成