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建築

よみがえる田園都市国家 佐藤光 書評

本書は大平首相の「田園都市国家」の内容を紹介検討し、「ゆとり」ある暮らしを追及したもの、著者は東京大学大学院博士課程中途退学、大阪市立大学名誉教授、社会経済論専攻、

いまなぜ田園都市国家構想なのか

大平構想という長期的国家ビジョン、政府の経済政策と長期的ビジョンの不在、哲学のある長期ビジョンへ、思いつきでなかった大平構想、

大平正芳の田園都市国家

①哲人政治家とブレーンたち、哲人政治家・大平正芳の生涯、楕円の哲学、ブレーンたち、②報告書「田園都市国家の構想」、大平正芳の理念、報告書の歴史的背景、報告書の思想、③報告書が示す具体策とその限界、「多極重層構造」の田園都市国家、さまざまな具体策、限界・1970年代の制約、家庭基盤の充実構想との関連、④田中角栄「日本列島改造論」との比較、競合関係にあった大平構想と田中構想、哲学のちがい、

E・ハワードの田園都市

①「原点」としての江戸期日本、川勝平太の推測、渡辺京二「逝きし世の面影」の日本ー実像か幻想か、②構想と実現ーレッチワースなど、労働者の劣悪な生活環境への視線、「明日の田園都市」に見るハワードの思想と構想、「ユートピア」の実現、③J・ジェイコブズの批判ー「計画か」「多様性か」、都市計画の拒否、出会い・ふれあいの場としての歩道、多様性にあふれた街、都会の偏愛と田舎の蔑視、④日本への導入、内務省「田園都市」、高級住宅地と「阪神間モダニズム」、何が問題とされたか・中央と地方、

柳田国男の田園都市国家

①ハワードと内務省の田園都市構想への賛同と反発、ハワードらの構想との複雑な関係、「中農養成策」と「時代ト農政」ー賛同、「都市と農村」ー反発・兵営国家と分権国家、②「都市と農村」の理想と現実Ⅰ、農村文化の称賛、都市文化の嫌悪、③「地方文化建設の序説」への寄り道、都会人の「噴火口上の舞台」・追いまくられる、メタファーとしての「消費」と「生産」、④「都市と農村」の理想と現実Ⅱ、農民の自尊心の喪失、日本農業の「三つの希望」と現実、⑤「中農養成策」の顛末、生産性向上のための「中農」と「幸福なる小工業」、柳田改革構想に立ちはだかる農業保護主義、⑥柳田の自然観、「科学の対象として の自然」、自然のなかにある人間のへの関心、「家の宗教」の保守、⑦柳田から見た「田園都市国家の構想」、柳田と大平の共通点、自然観の違い、地方経済活性化の問題、⑧柳田から見た「家庭基盤の充実」、基本としての家族愛、つながりがつくる「永遠の生命」、現代人の時間意識と死の恐怖、⑨時代的制約を超えて、「農村文化」「地方文化」をいかに受け継ぐか、「ケ・ケガレ・ハレ」のリズムがもたらすもの、「地方文化」の再生のために、

21世紀の田園都市国家

①穏やかな経済成長、「ゼロ成長論」への疑問、経済成長への道、②家庭・地域コミュニティ・自然への配慮、家庭と地域コミュニティの回復、「よい自然」と「わるい自然」、③「地域消滅」と人口減少」の危機への対応、「増田レポート」の衝撃・地方消滅、「地方再生」への取り組み、行政的施策としての「選択と集中」、東京一極主義からの反転攻勢、絶望の必要はない、④AIとITに負けない田園都市国家、AIの進化と限界、AI・ITとともに生きる、AI信仰からの脱却ー「常識」の役割、⑤田園都市国家の総合的安全保障、「総合安全保障戦略」の先見性、⑥大規模地震対策ー危機管理体制結語、「武勇の精神」の故郷としての「農」と「田園」・元をただせば皆農家出身、

コロナ、そして死とともにある時代に

①史上最大級のパンデミック、コロナ禍という出来事、反グローバリズムの危うさ・国粋主義、集権国家の誘惑・中国、テレワークと地方分散、②生と死を見つめて、「死を遠ざけること」の不幸、「死の認識」へ、「葉っぱのフレディ」という「いのち」の物語、コロナウイルスとともに・静けさとゆとり、

まとめ

①いまなぜ田園都市国家構想なのか②大平正芳の田園都市国家③E・ハワードの田園都市④柳田国男の田園都市国家⑤21世紀の田園都市国家⑥コロナ・そして死とともにある時代に、大平の田園都市国家の構想は包括的で哲学があり、ゆとりがある(岸田との比較)、再生させるべきビジョン、