本書は身近な存在「キノコ」をわかりやすく解説したもの、伏線となったのが「デルゲパルカン」学術調査をきっかけに行われた四川省・雲南省のマツタケ調査、著者は京都大学大学院博士課程修了、1999年から京都菌類研究所所長、2000年から京都大学非常勤講師、キノコ研究に携わる
「刷り込み」によって決まる好き嫌い
真っ赤でホットな味わい・雲南省のレストラン、食べたことがないので好きも嫌いもわからない・大学の講義で学生たち、栃木県人が熱狂する「ちだけうどん」、ぬめりが強いキノコたち・長野と北海道、日本海側で好まれるアミタケ、まったく違うトリュフの好み・フランスと日本、日本びいきという「刷り込み」・スエ―デン学者、
世界3大キノコ・ブランドの威力とからくり
①世界のマッタケ、南の島にマッタケが・南太平洋トケラウ諸島、日本のマッタケと近隣種、アジアのマッタケ、北アメリカのマッタケ、ヨーロッパ・北アフリカのマツタケ、「ブランド」の面目・日本、②世界のトリュフ、ヨーロッパの「黒いダイヤモンド」・フランス産、ヨーロッパの白トリュフ、北部イタリアのピエモンテ州、アジアの黒トリュフ・雲南省、アジアの白トリュフ・福島県、たまげたスケールの栽培・ニュージーランド・オーストラリア・アメリカ、ブタから犬へ・トリュフの採取、黒トリュフにかける執念・トリュフ蝿を追いかけて、中国産がフランス産として輸入、トリュフの加工品とおいしい食べ方、③世界のポルチーニ、ほとんどが外国産、ブランド品になれない中国産ポルチーニ、「中国産」が「イタリア産」に化けるとき、日本のポルチーニ、ポルチーニのおいしい食べ方、
繰り返される「贋マッタケ」騒動
札付き集団の仕業、「人工栽培マツタケ」はシイタケそのもの、過熱する報道番組・NHKニュース、番組担当者のそれなりの誠意と検証を怠った報道、マツタケ様の雄々しいお姿 朝日・毎日の人工栽培マッタケ礼賛記事、シイタケでした、法律違反の片棒をかつぐ、
マツ林にはない中国西部のマツタケ
マツ林ではマツタケは採れない、チベット文化圏と漢文化圏のはざま、マツは生育してないがマツタケはある、青崗林のあるところにマツタケあり・青崗とは常緑コナラ属樹木、マツ林のマツタケを求めて、マツタケのルーツとその分化の解明へ、
キノコとはなにか・意外にむずかしいその答え
キノコは植物に非ず・菌類、数ミリから70センチまで、キノコにとって生活とはなにか、キノコなしでは生育できなさい樹木、
摩訶不思議な知られざる生態
相良名誉教授の「穴掘り人生」、アンモニア菌は「死体の埋葬地」に発生、土竜之雪隠茸・モグラの便所のキノコ、「共生」というよりも、懇ろな「共棲」関係、「このキノコは大丈夫」という過信、毒キノコの見分け方、夜光るキノコ、幻想的な姿に化粧直し、冬虫夏草菌ーキノコと昆虫の奇妙な関係、各種昆虫から発生する冬虫夏草菌類、タデ食う虫も好き好き、虫食う虫も好き好き、昆虫に必殺「とどめ」のメカニズム、
味・旨味みを確かめられるおいしい、おいしい食べ方
調理法のアピールが不足・鍋物、揺れ動くキノコの旨味のランク付け、香りと歯ごたえが身上、加熱で旨味が増す、ヨーロッパで好まれる三大キノコ、ポルチーニ・アンズタケ・アミガサタケ、市民権を獲得するヨーロッパキノコ、香りや旨味を逃がさないのがコツ、鍋物で多種類の味覚を楽しむ、調理準備の禁じ手・水洗、
キノコ好きの調理法
マツタケ・ホンシメジ・乾シイタケ・生シイタケ・エノキタケ・ブナシメジ・マイタケ・エリンギ・ナメコ
美容と健康におよぼす多くの機能
「くすり」ではなく機能性食品、身体におよぼすキノコの諸機能、生理活性機能ー抗ガン・抗腫瘍活性・免疫増強免疫抑制作用・抗ウイルス作用、生体調節機能ー血圧降下作用・血糖降下作用・コレステロール低下作用・抗血栓作用・抗酸化作用・強心作用、皮膚活性維持機能、今の時代にマッチした食べ物、
ついに「仁義なき戦い」に突入した巨大生産ビジネス
テレビCMに効果あり、ナメコ生産が原点、純白エノキタケを開発、生産のオール自動化を可能に、工場を新潟県に集中する戦略、相互不可侵が暗黙の了解、エスカレートする相互侵略、不毛な戦いの影響、
まとめ
①「刷り込み」によって決まる好き嫌い、②世界三大キノコ・ブランドの威力とからくり、③繰り返される「贋マツタケ」騒動、④マツ林にはない中国西部のマツタケ⑤キノコとは何か・意外にむずかしいその答え⑥摩訶不思議な知られざる生態⑦味・旨味を確かめられるおいしい・おいしい食べ方⑧キノコ好きの調理法⑨美容と健康におよぼす多くの機能、⑩ついに「仁義なき戦い」に突入した巨大生産ビジネス、四川省・雲南省の調査を伏線にキノコワールドの最前線を描写・調理・美容と健康・ビジネスまでカバー、