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インドの布

上羽陽子・金谷美和 躍動するインド世界の布を読む

皆さんはインドの布てどんなイメージをお持ちですか。本書は国立民族学博物上羽准教授・国際ファッション専門大学金谷准教授他が布を中心にインド社会をつくる人々の営みを描いたものです

場をくぎり、人をつなぐ布

まず、吉を招き入れるトーラント・戸口飾り、結婚式では、花嫁に贈る絞り染めの被り布。男性が亡くなった後、霊媒に巻き付けるターバン、販売を通じて輪廻転生の古着、バングラデッシュのトロン・装飾門、男女の空間を分けるヴェールがあり、場をくぎり、人をつなぎます

神にとどく布

下層カーストは、染色布で女神の祠を建てます。拝礼儀礼で布製の壁掛けピチュワーイーを用い、石版画に布装飾、聖者墓ダルガーは布で覆い、サリーを奉納します。ブータンでは祈りの旗を立てます

政治を動かす布

ガンジーの独立運動をつなげた紡ぎ車・チャルカーと織り上げた布・カーディー、印パ戦争のモーディ・サリー着用、インド国旗・紡ぎ車、バングラデシシュ政治運動に使われる横断幕、ネパールの象徴・織布ダカ、クジャラート州大地震をもとにテキスタイル作成いずれも運動の象徴となりました

布が生み出したグローバル経済

アメリカ文化の象徴バンダナ、スワヒリ世界のプリント布カンガはインド起源。変容する文化として、カールべーリア遊牧民の黒色舞踊衣装(蛇の見世物から舞踊変)、バラタ・ナーティヤムの復興に伴う染工房設立(寺院奉納から復活)、イギリス紅茶茶器・キャリコに見るインド更紗の文様があります。色落ちしない多色染めは、インドのプリント布への憧れにあり、パールシー・サリーはイランからインド移住でまとったものです。バングラディッシュのノクシ・カンタ(模様のついた刺し子布、手工芸品)はNGOによってフェアトレイドの主力商品化されました

まとめ

インド布は、信仰、婚礼、贈答、独立戦争にも使われ、熱狂的な興奮を巻き起こしました。