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狩り

千葉徳爾 狩猟伝承を読む

皆さん狩りてどんなイメージを持ってますか。本書は筑波大学千葉教授が狩猟伝承とは何かについて描いています

狩猟伝承の見方

カリとは大型野獣の捕獲、どの場所で狩りをするか口に出さない、明治・大正期は勝敗が価値観となったが、野獣の知識は人生に必要なもの、早川幸太郎著「猪・鹿・狸」は野獣の消えゆく記憶を記している

狩人の性格と出自

「一本気の気ままさと冷酷さ」と「猟は下手、極めて楽天的」のタイプあり。狩りの体験は山中の夜・ニタマチ猟から、豪胆で孤独に耐えられることと、常に心身を緊張させ、環境と職業からくる心理的圧力に耐えることが性格を規定。昔は農民で猟を行った人が多かったし、薪材の伐採が専業で傍ら狩りをする人もいました

狩猟の武器と方法

農耕以前は攻撃的、農耕中心になると消極的方法、猟師が登場、弓矢、槍、薙刀、ワナなど相手・場所に応じ武器使用、ワナはやましさと危険性から禁制の場合が見られた。鉄砲の種類は、用心筒・猟師筒・威し筒、弾丸を造っていたのもいる。大正期には趣味の狩人増加、狩猟伝承はゆるんだ。大きな獲物には共同で、小さなものは個人で狩りをしました

大きなけもの

武士にとって鹿狩りほど適当なものはなかった、そのため庶民は頭数を得ることは難しかった。円山応挙の猪は死んだ猪と批評、肉薄接近はなく、ウジに待ち伏せて犬に追われる猪を攻撃した。熊狩りは、ワナを仕掛ける、動きの鈍いときに攻撃、マキガリと発展した、捕獲の主たる目的は熊の胆。カモシカの捕獲は、ウジを巡回、貯め糞し、追いつめ殺す。弧猿は群生活をいとまれない為、畏れられた。

幻の動物たち

オオカミはいないが、ヤマノイヌはいる、漁師たちに尊敬されていた。狐・狸・貉は化かす動物、鼠と猫も山中では狩人は警戒した。犬は狩人の唯一の味方だが、敵となることもあった

狩りの巻物

武家の伝承「狩詞記」と「狩言葉」に狩りの規定がある。古い狩猟慣習は現在でも奄美で山法と呼ばれる。狩人の由来記は民俗学の方は「日光派文書」と弘法大師「高野派文書」に記されている。山中の住民は、熊の胆行商に従い、津軽の西山猟師は蘇民将来の兄弟であったと説かれている

狩りの儀式

野獣解体で、人に食われることは、成仏を意味する、「合戦で血祭」は、山の神に捧げ幸運を祈る儀式、千匹猪は、千匹で狩りをやめないと祟りある伝承、武家社会では、鹿を射留めた時矢開き行事を行う、シバマツリでは、椎の山を囲んで狩りの真似をします

狩人の信仰は、口にしない、山言葉で通用、方角・場所・出産・死を忌む、山の神に社殿はない、拝するものは山の神で、木や石を祭場と考えました

まとめ

人獣争闘の長い歴史を経て山の獣は人間から畏怖せられました。 本書は農耕時代における「狩猟伝承」を描いたものです