本書は中世イングランドの日常生活を、生活必需品から食事・医療・仕事・治安までの視点から描いたもの、著者は歴史家・作家、オープン大学で文学士、ケント大学で中世医学の研究修史を取得、中世におけるごく普通の人々の生活を紹介
社会構想と住宅事情
中世社会の身分ー貧困層の暮らしぶりー農奴・隷農、粗末な小屋、質素な食事、エールを飲む、中世社会の身分ー富裕層の暮らしぶりーかなり快適、浴室とソーラーと大広間、中世社会の身分⁻中流層の暮らしぶりー快適で便利な品々を取り入れた暮らし、言葉に気をつけようー女性には素敵(細かすぎてうるさい)と言わない、
信仰と宗教についての考え方
仕事と休暇ー教会の鐘で時を知る、日曜日は安息日、聖なる日は仕事を休む、断食の習慣、性行為ー大きな罪、死と死者についてはどう考えているのかー天国と地獄、死にどう対処するのかー葬儀と追悼ミサ、どのようにして礼拝するのかー膝をつき両手を合わせる、
衣服と外見
豪奢禁止法ー身分にあった衣服とつま先がとがった靴の流行、どのような服を着たらよいかーリネン類、羊毛製品は下着とセット(洗濯不可理由)、ひものむすび方ー妊婦と娼婦、服はどこで手に入れるかー古着屋・布地屋と仕立て屋、衣服の手入れはどうすればいいかートイレにつるす、肌や髪の手入れはどうするー毎朝顔と手・首を洗う、入浴は頻繫に行わない
食べ物と買い物
なにを食べればよいのかー自分で育てたものでやりくり、チーズと豚、主食ーパンとエール、食べ物はどう調理するのかーしっかり熱を通す、砂糖とスパイス、食べ物や日用品はどうやって買うのかー市場、金・重さと長さの単位ー中世の人々が使ったコインはマーク、混乱した重さと長さの単位
健康と医療
かかりやすい病気にはどのようなものがあるかーペスト、どうすれば健康でいられるかーワイズウーマンの存在、麻酔のレシピあり、寿命はどれくらいー80まで生きた人もいた、内科医はどれほど役に立つのかーハンセン病と決めつけられた患者の診断、内科医として不適格と訴えられた女性内科医パーネルとその夫の評判回復、内科医と外科医の違いとはー内科医は血を流せない、外科医は手と体を動かす
仕事と娯楽
どのような姿勢で仕事に取り組んでいるかー社会的地位を上げること、どのような職業に就けるのかー町の職人・ギルド加入は徒弟として年季奉公契約で可能、女性はどのような職業に就けるのかー賃金の安さでなんでも就ける、ファムソール(独立女性)ー自立した女性・事業経営、仕事がなければ女性は何をするかー娼婦、どのような娯楽があるかー四旬節の前日行われるフットボール、神秘劇、「ママー」豊穣儀式、どのような気晴らしがあるかー読書、
家族のこと
結婚ー教会での式を必要としないが、教会が結婚を認めない関係はある、離婚ー夫婦の一方が夫婦としての生活を行う能力がない場合離婚できる、女性はどのような扱いかー一家の執事と秘密結婚発覚、引き離しを受けた末、有効の裁定、子供はどのように扱われるかー赤んぼは「おくるみ」で快適睡眠、子供たちの教育はどう行われるのかー甘やかすな、ペットー動物と近い関係、
戦争
何度も出征するのかーフランス・スコットランド・ウエールズと内戦が行われた時代、誰もが戦闘に巻き込まれる可能性があった、どのような戦闘を行うのかー兵器は長弓と槍、威力を見せつける大砲、戦争術の学習ーウェゲティウス「軍事論」訓練・武器・戦術・要塞、生き残る確率はどれほどー白兵戦がポイント、戦争から戻った負傷兵はどういう生活を送るのかー物乞い、
法と秩序
一市民としてどう行動するのかー犯罪が起きたら騒ぎ立てる義務、地方はどのように治安を維持しているのかー領主とシェリフ・番犬として教区吏員が法の秩序を守る、パイパウダー・コート(行商人裁判所)ー市場の犯罪、犯罪者はどのように訴えられるのかー共犯者告発人からの訴え(10人告げ口すれば命は助かる制度)、保釈ー財産保全、御料林法ー王の狩場を守る、法律の特異性ー豚が幼児殺しで絞首刑
まとめ
中世の旅は未知の地域探検や発見と同じようなもの、言葉の違い、快適とは言えない重労働を要する社会、本書は中世旅行のガイドを目指したもの、