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教養としての能楽史 中村雅之

本書は幅広く多くの人に能の歴史を通じ、その本質をを理解してもらおうと執筆したもの、著者は法政大学大学院修士課程修了、伝統芸能プロデューサー

能の成立と世阿弥

1すべては「翁」からはじまる、「能にして能にあらず」ー翁・神事芸能、巫女が猿楽の能禰宜が田楽の能を演じた、法会で最も重視された多武峰の八講猿楽参加義務、「本物の甲冑を付け、刀を持ち、馬に乗って舞台に出た」、もう一つは元祖・薪能「薪猿楽」、台頭する能役者ー翁なしで能を演じた・観阿弥、維新で消えた翁役者、2「もう一つの能」、田楽ー、豊作の祈りから永長の大流行、田楽法師あらわれ盛り上がる「太平記」、座敷崩れの大惨事、歴史の中に消えた田楽ー民俗芸能として点在、3美少年と将軍、祇園祭の座敷に足利義満と観世の息子、きっかけは南阿弥の勧めも?藤若は二条良基がつけた名「良基消息記」で、観阿弥の貴人に愛される教育の成果、晩年は義教に疎んじられ佐渡へながされる、4「風姿花伝」のよみどころ、600年ぶりに世に出た秘伝の書、子供は好きなことを自由に、新人・それは本物の魅力ではない、「男時、女時」と老いての心得ー控えめ、「秘すれば花」、観客が騒がしい時は待たせるのだ、本当の達人は時と場に合わせ能を演じる、5戦乱の世を生き抜く役者、大衆ウケを狙ったエンターテインメント、頼りは戦国大名と本願寺、

太閤の能狂い

1実力は「神変奇特」、肥前名護屋にてー秀吉は暮松を指南役として能の稽古、おやめくださいますのがよろしいのではー周囲の反対、小袖の柄が気に入りました、熱中の幅ー能役者を呼び寄せる、「禁中能」ー後陽成天皇に見せる、耳を引っ張り合う家康と利家ー「耳引」共演、近衛信輔は記すー大名たちに批評、秀吉はに言及なし、2壮大な自画自賛、吉野行の花見と能の催し、次いで高野山、再び禁中、初の伝記「天政記」がネタ本、事実と違うがー明智討ち、淀君の心中はー柴田合戦記で供養、氏政の霊ー北条、同時進行のドラマー吉野詣と高野参詣は創作、3かって能は、もっと軽快だった、佐竹義直の失態で廃嫡、表章の研究でゆっくり演じるようになる・「式楽」化、「翁付き五番立」の成立、重い曲・軽い曲で「位取り」、「復元」の試みー秀吉が見た卒塔婆小町の上演時間ー50分、

武家式楽の裏側

1「犬公方」は「能公方」、気まぐれ将軍綱吉、露骨な宝生贔屓、翻弄される喜多大夫家・追放処分と恩赦で「廊下番」命じられ中条嘉兵衛直影と改名・秘伝の「関寺小町」は演じられたが晴れの場ではなかった、「加賀宝生」の誕生は、気まぐれ将軍に合わせ前田綱紀が転流させたもの、どうにも止まらない綱吉は自ら演じて見せた、結果的に希曲を掘り起こす、2大名になった能役者、家宣の側用人間部詮房は小姓として仕えスピード出世したが、素性ははっきりしない、出世の糸口は能「甲子夜話」、家宣は新井白石の「諫言」で能には陪席させず、家宣の死で詮房と白石失脚、3チャカポンの井伊直弼、譜代の中の譜代だが、埋木の青春時代、直弼の「鍋冠祭り」と「鬼ヶ宿」、十代藩主直幸以降の直弼の父直中で能愛好家輩出、世継ぎとなった直弼、藩主・大老、4熊さん、ハっつぁんの能見物、いざ、千代田のお城へ「町入り能」・白洲にすし詰め、「勧進能」はなかば幕府の公式行事・敷地2千坪以上で飲み食い自由、

能の近代

1能の「御一新」、静岡へ下った観世大夫、困窮のきわみ、大和の金春大夫は知行地と藩札発行の特権、取次騒ぎで幕府見限る、新政府に献金「春日御役者」と知行地没収、2「天覧」を争う旧公家・大名と元勳、行幸でなにをご覧いただくか、相談受けた前田成泰、観世流の梅若実の思惑で、宝生大夫九朗の半能で「熊坂」演じる、天皇の謡は耳学だが能はお好き、「天覧能」の反響は大きく能復活の足掛かり、初めての能楽堂「芝能楽社」、「歌舞伎派」の動きへ岩倉の横槍・死去・演劇改良運動を経て「天覧歌舞伎」実現、3能面流転、野上豊一郎の海外流失の感想は安堵感、最古の「翁面」はベルリン国立民族博物館所蔵、能面の基本は60種、能面の海外持ち出しはシーボルト、オランダ国立民族博物館所蔵、ギメとキヨソーネによる能面買いあさり、旧大名家は大正期から流失始まる、山内容堂の能面は大英博物館とビクトリア&アルバート博物館が所蔵、4新作と廃曲のあいだ、古典能の世界観は平安時代止まり、新作能は勤王思想と国威発揚「忠君愛国」一色に、太平洋戦争後は芸術よりなんでもあり、新作能は社会の鏡、能にだけ登場した天皇・右翼がやり玉に上げた「蝉丸」小樽では予定どうり演じられる、しかし天皇機関説で廃曲、大原御幸もやり玉に、

まとめ

大蔵流狂言方・山本東次郎家の教えに「乱れて盛んになるよりも、固く守りて滅びよ」、能の在り方としてこれが正論だ、能の成立と世阿弥、太閤の能狂い、武家式楽の裏側、能の近代で構成