本書はお白洲から見た江戸時代の身分上下の可視化について述べ、幕府が守ろうとした社会秩序と正義を照らした、著者は佛教大学大学院博士後期課程修了、神戸大学経済経営研究員日本近世史専攻
お裁きの舞台と形
奉行は初回・吟味詰まりの口書確認・落着の3回だけ、作業は下役、分相応の生き方を貫徹させるため「差別」を追求、出者が揃い、奉行は儒者に目安を読み上げさせ、半分ぐらいで「最早宜」、公事人を退出させお白洲を閉じる、お白洲は座敷の下に3段構造、
お白洲の起源
お白洲と座席の区分は鎌倉期で庭がお白洲に、お奉行様の前に出て訴訟は公事になる、公事訴訟の増加で新井白石の裁判の迅速化と享保の「相対済し令」、お白洲の改良・屋根と縁側と公事人溜まり、座席のこだわり・出者に上者と下者、
武士の世界との線引き
熨斗目の身分標識化、以上と以下・徒士・陪臣、麻上下着用者に「熨斗目着用の格式を確認」、道同人の扱い、
釣り合いを考える
座席の不都合・僧と俗の区別・神職上級と下級区分(許状の有無)、公儀は宗教者に対し慣習と組織内秩序の序列を汲み取りながら現実の身分秩序と「不都合」のない座席設定を模索、釣り合いで寺社の侍と神職個人の家来・大事なのは「釣り合い」
出廷するのは士か,庶か
二面性を持つ場合、師職か百姓か・本体の身分は一つの理解、「帯刀」を身分標識、御用達町民は御用に奉仕する町民・身分と職分では座席が違う、
身分が変わると座席が変わるか
家族の席は当主の身分、次男娘は砂利、判断のカギは「其身一代限り」かどうか、血統よりも今を見る・昔の百姓と今日の武士、実家は庶民で私は武士、元の身分と今の身分、
縁側から砂利に落ちるとき
身分移動は身分片付が要件、身分はそのまま苗字帯刀と家来格は砂利、僧侶の出自・血統と血統擬制は縁側・武士の身分の「株」化、席高きがゆえの優遇と屈辱・奉行に突き落とされる、治者ゆえの重罰、
明治の始まりとお白洲の終わり
熨斗目廃止、武備の必要から経費削減、新政府樹立、三奉行廃止し市政裁判所・民政裁判所・社寺裁判所置くと通達、「仕来り」打破のため「復古」の大義名分が新たな「正義」、主役は実務役人による複数制、身分で出廷座席を差別したが判断基準は「位階」と「族籍」、地方のお白洲は従来の慣習、司法省の成立、「上告」制度・手順は江戸時代と同じ、「尊卑の分界」の廃止、出廷する者への座席区分撤廃、白洲から法廷へ、お裁きから「権利」へ、身分から国民、
まとめ
お白洲とは公儀が人々に向き合い、その正義を示す舞台、その空間に座席を差別、原型は武家が「庭」と座敷・縁側の空間で訴えを聴き、罪を裁いた形式、江戸のお白洲は「仕来り」として受け継いだもの、現代人がイメージするお白洲は芝居の沙綾型襖と熨斗目裃と「大岡政談」、お白洲は身分の本質を見せてくれた