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政治

アメリカの分断の淵をゆく 國枝すみれ

アメリカは今、多文化主義を推進しようとするリベラルと、キリスト教に基ずく伝統的な保守派に分かれ、憎しみあっている、本書は10の物語で構成、分断と抵抗を描いています、著者は慶應義塾大学・ミシガン大学院で学ぶ、英字新聞毎日デイリーニュース編集部特派員

心の「故郷」を蝕む悪魔の薬

カントリーロードが鎮痛剤で病んでいる、薬物は残りの人生を差し出させる悪魔、きっかけは出産時での痛み止め、そして転落、薬物依存をはびこらせる「最底辺」の地、人を愛するにも憎むにもエネルギーがいる・怒っている時間はない

KKK(白人至上主義組織)に会いに秘密の森へ

ハリケーン被災でKKKに取材「アジア人だけど、本当に行っても大丈夫」、激しい差別発言まるで「注文の多い料理店」で、憎しみが結晶化されるまでほっておかれていた、トランプ勝利でネオナチ志望者は15歳、屋根のカギ十字旗は2年前よりも巨大化、ネオナチ・ダニエルは「口を封じてはいけない」欄外の存在、ダニエルの反論は異文化受け入れの教育は毒の注入

最期の決断

尊厳死を取材に「異界」へ、30人の尊厳死の瞬間を見守って、生きるか死ぬかは自分が決める問題、宗教の基本姿勢は自己決定権に反対、良質な終末医療と尊厳死法の両方が必要、先陣を切るオレゴン州、元気なうちに生き方・死に方を決める

温暖化で沈む島の小さな暮らし

アラスカ先住民を取材で1週間の音信不通を宣言する、温暖化が伝統のアザラシ猟を脅かす、伝統を受け継ぐ家族、近代化する家族、先住民に対して冷酷なアメリカ、寝起きした部屋の2つのベットと自殺した女性の写真

BLM発祥の「世界最凶」の街

トランプ曰く「世界で最も危険な場所」オークランド、15歳までに経験した葬儀は23回、繰り返される惨劇への無力感と若者たちの「悲惨な経験を伝えることで次の自己を防ぐ」覚悟、「俺は20歳になるまで生きていられるだろうか」、生き延びるために「悪い時に悪い場所に行かない」、黒人の制度化された差別は、奴隷制や自人種隔離政策

反骨の記者の「リメンバー・パールハーバー」

日米間を流れる「深い河」ノウモア広島とリメンバー・パールハーバー、プロパガンダに協力した記者と抗った記者、カビの生えた木箱に残されていた幻の原稿・ジョージ・ウエラーの長崎の原爆記録・プレスツワーを抜け出して長崎に一番乗り、原爆報道を徹底的に叩き潰したアメリカ政府、83歳の老記者が語った原爆投下の正当性と日本が行った捕虜たちへの残虐行為、エノラ・ゲイの元乗組員は真摯に答えた、役割を果たしたと

可視化された100万の性犯罪者たち

カリフォルニア州は釈放された性犯罪者の検索ができる、私の住むアパートに性犯罪者が住んでいる、インターネットは性犯罪者たちの無限の狩場、小児性愛者を訪ね精神病院へ、「根本治療はできないがコントロールは可能」、アメリカは実験国家・ひるがえって日本はどれだけのことをしているか、釈放後の性犯罪者は支援があって幸せに生きる。「この町はゴミ捨て場じゃない」「レイピストは町に入れない」、性犯罪者の再犯率をめぐる現実、カナダは8人の「友達」が出所者を支えるプログラム、小児性愛者が性犯罪も自殺もせずに済むために「友達」か

死の灰にまみれたアメリカ人

核実験で爆発前に動物を設置、爆発度に回収「爆心地から最後に脱出し・最初に突入した」キノコ雲の中を突っ切らされたパイロット、核戦争に備えて人間の耐久性を調べる、誓約書を気にして沈黙した兵士たち、被爆したアメリカ人たちの孤独、反核運動に関わることをなぜ厭うか・強い軍隊と核兵器で平和を守る・活動家は反体制派とみなされる、「人の命は軽かった、そんな世界、そんな時代だった」

寛容と排外主義のボーダーで

アメリカ人の心を動かした幼児の号泣・トランプの国境地帯、難民収容施設に拘束され若者は「俺は動物じゃない」と難民申請をあきらめた、排外主義の炎が燃え上がる国境地帯の街中で・連続殺人事件の犯人は国境警備隊員、「狩り」のターゲットになって起きたことは人種差別、アメリカ最貧の地はかって都市部よりずっと豊だった、国境の町では密入国は産業、グアテマラシティに不法入国で離散した家庭の再会を訪ねて・受け入れる国民が決めるべき

分断、その深き淵より

トランプで独裁国家は目前、アメリカは超えてはならない一線を超えた、田舎町にも到達したBLM(黒人の命は大事)の波、OUR UNBORM CHILDは没になったアメフト選手の不正記事,田舎生まれリベラル派・きっかけは「M・中産階級からの脱出」、オハイオは高齢化・過疎化する日本の田舎と同じ、それでも支持者はトランプの作り話「選挙は公正ではなかった」を信じている、いつまでたっても交わらないリベラルと保守派、それでも希望はある「自由が来るまで、路上にいる」めげない

まとめ

毎日新聞入社、特派員でアメリカの抱える社会問題、ドラッグ、人種差別、銃犯罪、核兵器の取材のなかから分断と抵抗を描く、10の物語構成