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壁と卵

岡本隆司 腐敗と格差の中国史

皆さん中国の腐敗てどう思います。本書は京都府立大学岡本教授が腐敗と格差の中国史について執筆しています

格差

主権者を皇帝とした政治に見あう統治機構が官僚制、郡県制は、末端が県で密集集落、「県令」は中央から派遣、有力者は遊侠勢力を抱える。権力者は有力者から人材登用、高貴な有力者・貴族が官僚制を牛耳る、貴族制を助長した九品官人法、推薦評価で高いランクの官職に名望家集中。北朝は実用的な才幹重視、隋王朝で「科挙」制度、士大夫・官僚制が君主独裁のバックボーンになる、士大夫は読書人と称し、読むのは儒教経典、科挙は社会の差別を強固にし「士」と「庶」の2元社会となる、

権力

法家政治とは法律の強制力で人民を治める、漢王朝は「酷使」輩出皇帝権力の制度的に担保するしくみ欠如、光武帝の尚書は公式の政府機関化したが、濫用のチェック機能として作用していた。整然とまとまったのが唐代の三省六部の体制、律令の画一主義は事態の推移に追いつけなくなり、五大十国で破綻。収捨した3傑の君主独裁制は、地方に応じた在地主義を前提に一元化を目指すものである、二元社会は任地の官人は実務に無能、吏員・胥吏の存在が欠かせない事情があった。王安石の「吏士合一策」は官と吏の一体化であり、胥吏に正規の俸給を与え、昇任ルートも設けたが、貴賤の差別がこれを阻んだ、

腐敗

清代、地方トップ総督巡撫は皇帝の身代わりとして派遣され地方を巡回、実地に問題解決にあたる臨時の官職。その下に省内の税収財政をつかさどる布政使と司法刑罰をつかさどる按察使が置かれた、その下「分守道」、さらに監督する業務に対象に特化した「道」がある。末端の県の衙門は、県知事は知見、衙門は内房と分かれ、使用人、幕友、を置く、政務は6房が設けられ、経承と胥吏がいる、胥吏は土着・実務・非正規・無報酬で賄賂で生計、

改革

地方官の俸給はランクに応じて支給されたが、高位になれば十分でなく、別の収入が必要、地方財政は正規の財政体系に位置付けられず、「陋規」の発生する素地がここにある。税収は集めた銀をインゴットするため、目減り分を上乗せして徴収、これが俸給不足を補う「火耕」、ヤミ給与体系が出来上がる。雍正帝は地方財政を公的に捻出、そのため地方官から発意の形式をとる、公費として一定限度の付加税徴収を認め、超過分は認めない、あまりに不十分な俸給者に職務手当「養廉銀」支給、制度が定着したのは地方官に裁量を任せたこと。擁正帝が崩じると地方官との個人的関係は断たれ、インフレで「養廉銀」は対応出来ず、ヤミ俸給復活

根源

インフレ、人口爆発、未開地開墾、これに対し官吏の数は増えていない、内情は、科挙に合格しながら郷里で暮らす「郷紳」と呼ばれる人々が地域のコニュニティを束ねていた。人民と政府の関係は希薄化、仲介や請負が普及してくると、心づけや贈り物が変形した腐敗となる。革命のターゲットは外在的、孫文の三民主義で重要なのが民族主義、そして国共合作で標的は日本帝国主義、蒋介石は反共クーデター敢行、共産党を弾圧、国民政府を建てた、英米に通じ富裕層と一体化「浙江財閥」で庶民の立場に寄り添えない政権だった、

まとめ

皇帝という体制、官僚制から郡県制、目的である地方自治の実態、遊侠勢力の存在、九品官人法と科挙、二元的格差、律令から君主独裁。腐敗を生む清代の地方制度と二面性、インフレ・人口爆発に対応できない官僚、郷紳の存在。革命は民族主義で民主主義でない、習近平政権でも対応できない、誰にとっての「虎もハエも」か