西岡常一と語たり、伝統建築に携わってきた人々の記事をまとめ「西岡常一と語る、木の家は300年」の続編として、実際にやってみた3坪の茅葺屋根の家造りと伝統建築を支える人々を聞き書きしまとめたもの、著者は東大理学部卒、国立科学博物館勤務
茅葺小屋を建てる
思い立ってから設計まで
屋内に茅葺小屋を展示の新聞記事、茅の再利用申し出、地元大工依頼、土壁のできる左官屋さんを紹介してもらう、茅が運ばれる、富岡市・横浜港埠頭に古材を見て断念、図面が送られ、栗材に決める、左官屋さんと会い、工務店で打ち合わせ、遠野市へ栗材を見る、小屋の意匠決める
よいとまけをして棟上にいたる
地震祭、よいとまけで地形する、栗材が遠野市から届く、墨付け見学、小屋組み確認、和釘届く、棟上、楔で止める
茅屋根を葺き、壁を塗る
屋根工事足場材を運び込む、茅ごしらえ、屋根の下地は竹と藁縄の芸術、軒付け、木舞掻き、平葺、「ぐし」は棟瓦にあたる部分、土壁塗り、床貼り、囲炉裏、障子を運ぶ・竣工、
聞き書き・伝統建築を支える人々
栗材ー佐々木栄次郎
栗材専門、栗のある雑木林、太い栗のある国有林、遠野で残っている茅葺の家はほとんど栗、
大工ー高橋淳一
大工の修行、家一軒まかされる、その辺の木で自宅を建てる、家を造る心構え―末代まで、
左官ー八巻六郎
疎開生活、左官屋になる、昔の工法で家を造る、
壁土ー染谷勇
荒木田土の使い道、荒木田は土手が切れて洪水になって溜まった「えごみ」
和釘ー平川力
親父鍛冶屋で二代目、鉄は安来鋼・日立金属の刃物専用、包丁は黒文字、手入れしてます。和釘は自分の家で作る、技術の伝承は本人の気持ち次第
杉材-井上淳二
林業の問題は木の価格下落、木を見せる家が建たなくなる、木工を思いつく、木の理解と木の文化
茅葺き師ー伊藤正章
サラリーマンから茅葺き職人、茅葺き小屋(原田)の場合、軒付けは稲藁・島茅・杉皮・山茅で葺く、ぐしの納まりは関東近辺、茅屋根は人により地方により違う、いつも頭を使う、茅葺き屋根は綺麗・環境に理想的な材料
竹ー渡辺綱記
よく使われるのは真竹、私は三代目、竹をとる山に鋸と鉈、竹を切る時期は11月、竹を揃え・割り・両側を鋸で切って下の肉を削ってブラシかけ・ほこりを落とす
藁縄ー斎藤勝勇
農家の三男、縄を集荷して出荷・当時の利用は漁業、藁の調達は農家、藁縄の製造、縄以外の藁の製品は簀・ホームセンター向け製品、注連飾り
島茅ー浅野清
島茅は細かく草みたいで扱いやすい、島茅の産地は関東、茅場は山の替わり‣薪の代わり、茅刈は冬場、野焼きは3月、茅刈りは先祖代々、出荷先は県内、問題は職人の養成
杉皮ー高野堅氏
山で杉の皮を取る、製材をやってて自分の山と山を買って伐採することが多い、出荷先県内、林道はうちでやる、山の手入れ
障子紙ー沢村正
美濃紙で障子紙の漉き手はわし一軒、紙漉きの工程で、楮を使う、釜でいぶす、水の中で塵取り、洗い打ち・粘い液をまぜ漉き上げる、美濃紙は流し漉き、うちは手漉き和紙、文化財保持者としての自覚、日本一の紙を漉く
まとめ
茅葺小屋を建てる過程、設計、よいとまけから棟上、茅屋根を葺き、壁を塗る。聞き書きでは、栗材、大工、左官、壁土、和釘、杉材、茅葺き師、竹、藁縄、島茅、杉皮、障子紙に携わった人々をまとめています。実用を目指した構成となっています。