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折口信夫

折口信夫「まれびと」の発見 上野誠 書評

日本文化全体を見渡す視点から折口信夫論展開、神と人との関係、命の道標、まれびとと男と女、精霊との対決、年中行事があればこそ、歌と語りと日本人、日本の芸能のかたち、折口信夫が目指したもので構成、著者は國學院大學博士課程退学、國學院大學教授

神と人との関係こそ文化だ

他界への憧れ、神様がやってくるかたちー他界、神を招き寄せる目印ー旗など、外来と固有の境目ー習俗と結合時に変化、日本の踊りは宗教の源、人が神様をねぎらう、卑弥呼は巫女、家の神・氏の神・村の神の共存、「やしろ」とは何かー臨時の建物、神の言葉を伝える努力「言霊信仰」、おさない神を育てる人がいる「竹取物語」、貴種流離譚「源氏物語」、国魂はその国そのもの、折口信夫の天皇観ー天つ神の言葉を伝える人

いのちの道標

いのちの道標ー意味のないもの、古典の「たま」と「たましい」、球形の「魂」、魂と肉体ー肉体から出し入れ、「恋」とは何かー招魂、霊魂は分配できるー鏡餅とお仕着せ、女の香炉→女性祭祀ー男性たちの安全と健康を祈る、采女・舎人は下級女官・刀自は奥様、遊ぶは音楽、野遊びと山遊び、ほがいは褒める、「わに」とは「サメ」、地域の「しま」と「くに」、貴族は年上の女性と最初の結婚のしきたり、許容された多くの妾を持つということ、喜劇と悲劇の違いは肯定と絶望、「消える言葉と残す言葉と」で言霊の持つ力、橘曙覧の「独楽吟」再評価・楽しみは・・・ではじまる

まれびとと男と女

お客さんが文化をつくるーもてなす、「いはう」ーもとは精進潔斎、まれびとは客、まれびとの姿ー簔笠を着て、神をもてなし嫁を差し出す、「一夜妻」とは神にはべる女性、「まつり」の語源ーものを献上する、遊女の発生は宗教的役割、文学芸術は「かた」、𠮷原の遊びに「かた」、巡遊伶人こそ語り物の担い手、

精霊との対決

もの=魂、「もののけ」とは精霊の働き、祀られぬ魂も大切であるー供養、旅中の死者の幽霊はたたる、「たたり」は神様のデモ、怨霊・鬼をしっかりお祀りする、人が住む前に精霊が住んでいた、かっぱは水の神の零落、道の神は塞ぐ神、「鬼」は悪さと祝福、招かれざる客への呪術、「まつろわぬ」とは服従しない、言霊とは言葉の霊、恋とは・相手の魂を引き寄せること「魂ごい」、「幸」とは残すことで幸せをつなぐしあわせを、

年中行事があればこそ

花と先触れー花が咲くことは良き先触れ、お盆と生きみたま・死にみたまの区別がない共食せちは御神饌、ひな祭りと人形ー穢れを吸い取らせ流すもの、五月五日は女の祭り、魂祭りー良い魂を体に着け悪い魂に帰ってもらうための呪術、魂とお正月-魂の入れ替え、「からだ」と「霊魂」で霊魂戻れば復活、月見に花を供え豊穣祈る、祭りの翌日は御宴

歌と語りと日本人

「かたり」叙事詩と「うた」抒情詩、褒めることから比喩表現の文学、替え歌があるから歌が伝えられる、日本の恋歌の特徴はみんなの前で披露、「相聞」と「晩歌」はおなじところ恋歌から発生、「万葉集」は様々な古歌集の集団、「万葉集」の歌の作者はない、柿本人麻呂は学問により短歌の芸術性を高めた、「うた」と「ふり」本来区別なし、「うた」の献上ということは魂を献上の意味、民謡と地名の関係は土地の名前を変えて歌う、なぜ防人歌は残ったかー服属を表したから、「手習い」の文化とは書き写し、作者は作者を演じるとは歌により態度を使い分け、短歌は優美の幻にとらわれすぎ「ほろびる運命にある」、俳句は気分・短歌心の表現、短歌は即興誌、短歌は素人のない文学で玄人になってしまう、物語の「もの」とは霊魂、説教の「かたり」とはお経の書かれている内容を物語にして語ること、「のりと」を中心とした文学に「うた」「かたり」があった、関心を集めることはくどき、氏族が伝えた自慢話「古事記」「日本書紀」

日本の芸能のかたち

日本の芸能ーもともと芸能でなかったものが繰り返しで芸能化、神楽は鎮魂法の芸能化、身振りをものまね、もどくは動作をもう一度やること、宮廷は市のようなもので地方に広がる、寄席通いはよくない趣味、連歌とはかけあいの文学、「美人」とはセンセーションを起こす人、うそをつかなくてはならぬ人のために誓文払い、「ぱとろん」と「檀那」が日本芸能を成り立たせる、相撲はスポーツではなく芸能人としての振舞い、無頼の徒の芸術、「かぶき」はかぶく、歌舞伎では善人と悪人が決まっている、歩き方を見せる芸、隠者は階級を超える、隠者文学、隠者の特権、おじいちゃんの力「翁」、芸能の国際性・等しく評価

折口信夫が目指したもの

論文集の書き出しは不合格、翻訳学問批判、柳田先生の学問に惹かれる、民俗学の目的はエトスの追求、生活の古典、実感の大切さ「生活実感」、「発生」とは文学以前が文学になること、「類化性能」は同じ性質を見る「別化性能」は違いを見出す、方言から日本人の生活を考える、迷信を科学する、道徳は「なおす」こと、日本文学研究の目的を追求、日本文学研究の出発点は、自分の立っているところ、万葉人は万葉の生活実感を持った人、やまとびとは、やまとの生活実感を持った人、西洋的なものを取り組んで生きるー「和魂洋才」、もうこれ以上、日本を悪くしてはならぬ

まとめ

本書は口述筆記、折口の語りに心酔した時期と嫌悪した時期があります、一方で折口信夫の学問は復讐心のような強い情念があります、マイノリティの立場から反発するする心で学問しています、