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建築

公共図書館を育てる 永田治樹 書評

図書館の利用は2012年に反転、イングランドも同じカーブを描き7つの反転理由、この状況でコロナが襲い、人との接触からサービス停止、デジタルの仕掛けは有効であることを証明、本書は数年来綴った議論をまとめたものです。著者は筑波大学名誉教授で未来の図書館所長

未来の図書館のエコシステム

1公共図書館が抱える問題ー電子的な図書館サービス

2アラップ社のレポート「未来の図書館」ーワークショップのまとめ、ロンドン・メルボルン・サンフランシスコ・シドニー

3未来の図書館のエコシステムー領域①人々の参加によって知識確保、領域②協働と意思決定を可能にする、領域③コミュニティのウエルビーイングを確保、領域④途切れない学習体験を実現

これからの公共図書館を考えるために

1法人立図書館という公共図書館ーニューヨーク公共図書館は公的資金をも財源とする私立図書館で分館と研究図書館からなる

2デンマークのオープンライブラリー図書館員がいない時間帯でもオープン、利用者の時間帯に配慮

3オランダの公共図書館の課金制ー図書館利用に会費、

日本の公共図書館をどう育てるか

1公共図書館は十分にあるかー人口10万人当たりの図書館数、日本は2・59、アメリカ5・06、イギリス5・50館

2公共図書館はどれくらいの住民に浸透しているかー自治体内の登録者数(図書館利用カード)を設置自治体人口で割った10・5%

3住民は、公共図書館サービスをどのように受け止めているかー利用した人は75・6%、図書館が閉館の影響は46・6%、すべての人に平等な機会を与えるのに重要な役割を果たしていると答えたのは71・1%

4人々が頼りにできるコレクションが確保されているかー蔵書数は一人当たり3・6冊、出版物の82・2%所蔵、

5二つの都市の図書館システム比較ー東京都とニューヨークを比較、ニューヨークは図書館システム3、コレクションは3460万で必要情報を手に入れる可能性は高い

6システム規模の見直しー貸出用コレクション、これまでの一定期間貸し出し更新、研究コレクションは範疇外を見直し、広がりと深みのあるコレクションの構築、広域の図書館システムに変更しなければならない

図書館とコミュニティーイギリス公共図書館の展開

1「市民的」公共図書館の展開ー公共図書館法の大戦まで「良き市民の育成」、コミュニティのための図書館の展開

2コミュニティの亀裂と新しいコミュニティ・アプローチーコミュニティの変容「文化革命」という衝撃は差異や対立をコミュニティの内に作り出した、コミュニティライブラリアンシップという挑戦は伝統的図書館の在り方をコミュニティに寄せたものだが専門職官僚制を打破するものではなかった

3二十一世紀を迎えたイギリス図書館ー「市民のネットワーク」と「将来に向けての基本的考え方」を発表、デジタルシチズンシップ支援、財源不足から「コミュニティ図書館」という補填、

図書館での技術動向・予測ーホライズン・レポート図書館版

1図書館の技術動向・予測ーホライズン・レポートの作成

2「ホライズン・レポート」の立場ー一年以内・二年から三年以内・四年から五年以内にホライズン設定、要旨で科学技術動向、図書館の状況を10項目で提示、

3科学技術の採用を加速する動きー短期的に研究データの管理と利用者体験の評価、中期的には創造者としての利用者と図書館スペースの再考、長期的には機関をまたがる連携なと学術レコードの進化する性質、

4科学技術の採用を妨げる課題ー①図書館サービスと資源のアクセシビリティとデジタルリテラシーの強化②今後の仕事に適合する組織デザインと統合・相互運用性・連携研究プロジェクトの維持③経済的・政治的な圧迫と抜本的な変更ニーズの取り組み、

5科学技術の重要な進展ー短期でビッグデータとデジタル研究技術、中期で図書館サービスのプラットフォームとオンラインアイデンティティ、長期でAIとIOT

未来の図書館に関する提言

1第一回・図書館のゆくえー未来の図書館を考える、提言1:ウエブサービスを通じたサービスの提供、そして未来の話ー吉本龍司①カーリル(日本最大の図書館蔵書検索サイト)を使ってすべての図書館をつなぎたい②株式会社カーリル設立―無償でも提供し続ける責任③データを使ってこんなことができるーカーリルと図書館の協働④データを使ってできることを一緒に考えようー例えば本の動きで書架を最適化⑤使えない図書館の横断検索を駆逐するーカーリルの検索システムを使って⑥突然消えていく図書館があるー自律分散協調の精神で知の共有⑦未来の図書館ーミッションはユニバーサルな図書館サービス

2第二回・図書館とソーシャルイノベーションー図書館の活動はソーシャルイノベーション、ソーシャルイノベーションの活動と定義、提言2:図書館で変わる・地域が変わるーソーシャルイノベーションに向けて―太田剛①本の手渡しから始まったー「ふみの森もてぎ」オープン、②地域づくりの核になる図書館を目指す―気が付けばこれがソーシャルイノベーション、③なんで図書館の本はわくわくしないのー幕別町図書館長の三つの疑問④地域経済循環を起こすー装備を福祉施設の仕事にすれば⑤無償のJAPAN/MARCを使わない日本の公共図書館⑥地域の読書環境は、地元書店と図書館が手を組んで守る⑦「まぶさの男」「まぶさの女」-多様な人材を巻き込むサポート組織づくり⑧図書館をまちづくりの中心に―幕別町・茂木町・そして梼原町で

3第三回・図書館とサステイナビリティー2018年11月2日開催、公共図書館が維持できなくなっていく、図書館をサステナビリティの観点で考える、提言3:エリア価値を高める図書館-岡崎正信、①再開発すればするほどダメになるー土地の価値を落とす官のばらまき、②10年間ほったらかしの公有地開発を町長から任された③図書館に興味がない人がくる図書館をつくる④パブリックマインドがある民間がプロジェクトを起こす⑤オガールエリアは5年連続地価上昇中ーパブリックで自由な集客装置⑥ライバルがいない分野でとがるーピンボールマーケティング手法⑦図書館で解決する地域経営課題⁻オガールプラザが目指す財政の健全化⑧稼ぐインフラー柴波町図書館はあふれるホスピタリティで産直もライブフェアもやる⑨世界標準の断熱バレーボール専用体育館には全日本チームも海外からもやってくる⑩頑張らない子育て支援と断熱集合住宅でコミュニティづくり⑪図書館を再生しようと思ったらまちを再生する

オーフス公共図書館からヘルシンキ市新中央図書館へー公共図書館の新しい表情

1二つの公共図書館への訪問ーデンマークのオーフス公共図書館とヘルシンキ市新中央図書館

2オーフス公共図書館ー大型公共図書館で全自動駐車場、30万のメディア,1100席、ホール、オアシス、ラボ、研究室、カフェ、イベントスペース、コミュニティセンターのはたらき

3ヘルシンキ市新中央図書館ー一階はホール、イベントルーム、レストラン、映画館、二階は学習スペース、三階は図書資料のスペースとカフェ、案内ロボット、AIによる資料管理システム、

まとめ

未来の図書館研究所も「図書館のゆくえ―今をとらえ、未来につなげる」をテーマにシンポジウムを開催して5年経過、本書はこの間に綴ったいくつかの文をまとめたものです、公共図書館の知識情報を的確に伝える使命を持ち、コミュニティの人々の拠り所を踏まえ、いくつかの問題に焦点を当てました、