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さけ

泡盛の文化誌 萩尾俊章 書評

泡盛について様々な出版物がでましたが、総論という読み物が少ない、エッセイや酒造所・銘柄に重きが置かれ、歴史文化の記述少ない状況に鑑み、意を決して執筆しました。著者は筑波大学院修士課程修了、現在沖縄県教育庁文化課勤務

世界の酒文化

酒のはじまりー果実酒とビール、酒の種類は①糖質原料の酒②澱粉原料の酒(口かみ酒・穀芽酒・麹酒)、日本の酒の歴史で始まりはー麹を用いる酒造りと「口かみ酒」から清酒・蒸留酒は琉球から薩摩に伝来・江戸に酒屋と居酒屋の存在、泡盛の源流はタイのラオ・ロン起源説と中国と進貢貿易で中国起源説(水を加えない製法)・泡盛のルーツ探しで雲南省の蒸留酒は「泡を盛る」習俗・福建の羅源酒廠も東南アジアの蒸留酒も泡を盛る技法・

泡盛の特徴

焼酎と泡盛は蒸留酒、泡盛が黒麴菌を用いるのに対し米焼酎は白麴菌を用いる、黒麹菌の特徴は生澱粉の分解力とクエン酸をたくさんつくる点で沖縄に適した麹菌、「あわもり」の語源はサキつまり酒・由来は①原料起源説②「泡」起源説③薩摩命名説、泡盛は長くねかせることで酒の質向上、しつぎとはーいくつかの甕を用意して年代別に酒を貯蔵する方法、泡盛の古酒は貯蔵の手段によって・絶えず香りや味わいをみがいていく可能性を持った酒、蒸留器はメソポタミアで発明、東西に広がる・旧式蒸留器は4ッつの型・芋酒の醸造・原料米は外国砕米へ依存・伝統的な酒造民俗で・酒造のことを「サキタリ」・石垣島の酒造りと大宜味村喜如嘉の酒造り紹介

王国時代の泡盛

記録に見る泡盛ーおもろそうしに見る酒・交易史に登場する酒・漂流民の記録・冊封使と泡盛、王府と泡盛ー羽地朝秀・蔡温がみた泡盛・江戸上りと外交用の泡盛・島津家文書に見る泡盛、江戸における焼酎と泡盛事情で焼酎は庶民になじみ・泡盛は大名や豪商の愛用酒・阿久根焼酎と泡盛、王府と泡盛ーサキは御用酒・密造と蜜売りで酒屋制限、琉球王国の崩壊ー異国人がみた泡盛・尚泰王と泡盛、琉球処分

近代の泡盛

酒つくりの自由化ー沖縄県の発足で酒造り自由化・首里の酒造業を紹介・首里の酒と普段飲む地方の自家醸造酒・自家用飲料製造禁止で首里酒の流通、各地の酒造りと流通ー泡盛と「道の島」~流通と密売~・宮古諸島の酒造は酒造家による状況・八重山諸島の酒造は焼酎製造者による状況・特別認められた自家用の酒醸造、泡盛産業の発達と酒税制度ー酒に関する税制「沖縄県酒類出港税」・税制変更で泡盛業界の不振・立ち向かう酒造組合の設立・県外移出量が激減で業界の統制と品質と価格の安定を図る、戦時統制下の泡盛ー「酒は泡盛とポスター」から「ぜいたくは敵」・陸軍の要請からビルマで泡盛造り

現代の泡盛

戦後の復興ー酒造禁止で酒の密造・軍政府による5つの官営酒造所、沖縄民政府の取り組みー物資の不足から酒造の民営化と泡盛の広がり・軍政府が宮古からの酒移出認める・泡盛業界の連携で組合結成、泡盛業界の近代化ービン詰めの始まり・強力なライバルはアメリカの酒ウイスキーなど・泡盛業界に活力を与えた「譲界飲料新聞」、復興後の泡盛ー沖縄復帰特別措置で酒税軽減と外米買い入れ価格および輸入枠を認める・沖縄県酒造組合の設立・本場泡盛と古酒の表示、泡盛の現在ー泡盛メーカーは48・古酒の人気「クース(古酒)文化」が脚光浴びる

沖縄の酒文化

神・祭り・酒ー祭りの酒は無税・沖縄の祭りと神酒造り・祭事で作る口かみ酒とミキ・沖縄は近代まで口かみ酒が残されていた・神歌の中に酒に関する内容、説話の中の酒ー酒にまつわる民話・雀酒屋と酒田川の由来、酒と女性ー酒屋で働く人をトウジ・麹を見る人をコウジサー、酒宴と酒の作法ー酒の飲み方の変遷で廻し飲みからめいめい盃・ムラでの宴会は直会・酒宴の座興は「ブーサー」「サミ」「ナンコ」、人生儀礼と酒ー人の一生と酒・婚礼と酒・葬礼と洗骨、泡盛の中の特産品・花酒(ハナダキ)、酒と薬ーアルコールの効き目・万能薬・泡盛、泡盛と酒器ー飲みまわしのカラカラ・お祝いのユシビン・携帯用のダチビン・小さい杯に注ぐチューカー・祭具として渡名喜瓶・庶民の携帯用ヤーングア、泡盛と琉球料理ー琉球料理は150種・汁物・炒め物・揚げ物が多い・豚肉料理で・泡盛がすすむクセになる肴は「豆腐よう」と「島ラッキョ―」

まとめ

職場移動の時期「近代沖縄における泡盛地域的展開と酒造の民俗」で、味の素食の文化センターから研究助成を受けました。本書はその一部を取り込んでます。世界の酒文化・泡盛の特徴・王国時代の泡盛・近代の泡盛・現代の泡盛・沖縄の酒文化をえがいています紹介しています