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久野愛 視覚化する味覚を読む

皆さん、美味しさと見た目て考えたことあります。本書は東京大学久野准教授が視覚化する味覚について描いています

感覚の帝国

味と色で、谷崎は食べる情景に思いを巡らし「瞑想する」もの、味は二の次。デイビッド・ハウスは「感覚の帝国」で言語に変わる感覚を提唱、理解を帝国と呼んだ。1870年代、大量生産時代、不可欠の条件が部品・製品の標準化、食品産業でも例外ではないが、「標準化」とはあるべき色を再現し常に作り出すこと。感覚産業複合体が軍事食のようにいち早く発展したのが食品産業、色は食品のおいしさを伝える重要な手段、

色と科学とモダニティ

19世紀末以後色彩科学の発展は人々の日常生活で視覚環境が大きく変化、化学合成により生成された着色料の発明、カラー印刷。食品産業で利用されたのが、色の測定と数値化、色の名称標準化である、一例がロビボンド比色計、マンセンの色票、「色彩事典」、正確な分析として分光光度計、後に自動測定器。解決してないのが標準・正しい色はどの色か、カラーコンサルタント登場、可能にしたのが複製技術、「自然に見える」ことが重要

産業と政府が作り出す色

古代エジプトでは、サフランなど天然着色料が用いられたが、合成着色料誕生、加工食品の増加で利用広まる、生産販売は化学メーカー。着色料の使用拡大に伴い健康被害・規制され、「赤色二号」議論巻き起こるが、各国対応がまちまちになる。食品着色料は政府が食品規正法で規制と同時に一部認可し食品着色は産業として確立した

農場の工場化

バナナは黄色と赤茶色があったが、生産性と効率を求め黄色のバナナに特化。オレンジは特別な日に食べるものだったが、ブランド化とオレンジ色で消費を促進、成長による色の変化はエチレンで調整したが、後「色添加法」考案された今日に至る

フェイク・フード

酪農家は、バターの色は牛の餌・搾乳時期・牛の種類できまることから、初夏の黄色い色がバターの色とし、冬場のものに着色料用いる。マーガリンは工業化と大量生産を背景に生み出された最初の加工食品、「マーガリン法」制定・全て課税対象となった、

近代消費主義が彩る食卓

19世紀末に家庭用食品着色料の販売が始まる前、家庭では野菜の絞り汁が用いられたが、合成着色料の開発で状況一変。家庭向け食品ビジネスの先駆的役割はジョセフ・バーネット社で、カラーペーストを販売。見た目に美しく、女性らしさを表したディンティな食べ物は、食品産業のマーケティングレトリックとしても用いられるようになり、簡易・即席食品・加工食品が登場。「ベティ・クロッカー」という架空キャラターを使った料理のアドバイスは、企業と消費者の役割を果たした、

視覚装置としてのスーパーマーケット

日本で最初に「セルフサービス」導入したのが青山の「紀ノ国屋」。「スーパーマーケット」誕生、見せる陳列、生鮮食品は特に重要で、視覚装置に照明器具・蛍光灯、飛躍的に技術開発が進んだのが冷蔵・冷凍技術、食品の見せ方は透明フィルムを使用したパッケージ

大量消費社会と揺らぐ自然観

環境や人体の影響から、J・I・ロデイル「オーガニック・ガーデニング・アンド・アーミング」で有機食品の有効性や有機農法のノウハウを伝えた。自然食ビジネスで、アリス・ウオーター「シェ・パニーズ」自然食レストラン開業、ブラウンブレッドは茶色は自然を打ち出す。天然着色料の技術的弱点を解決したのは、ベータ―カロチン、食べ物の見た目にこだわらないビジネスも注目されている、

ヴァーチャルな視覚

ネットスーパーで、写真は食品サンプルの役目、持ち帰る必要がない、時間節約から利用されている。フェイスブックは世界最大のSNSで、プロとアマの境界不透明になり、食の生産者と消費者の境界も溶解しつつある。写真は見るものから処理するものになった、情動を引き出すことが主目的になったことで、SNSでは写真に写った食べ物の色を自然の色に寄せる必要がなくなった。「いいね」

まとめ

色は食品の美味しさを伝える重要な手段、色の科学的標準化。加工食品の合成着色料の利用増加は健康被害、規制を通じ産業と政府で色を作り出す。バナナは黄色、オレンジはブランド化とオレンジ色黄色いのがバター、マーガリンは課税。合成着色料の開発、加工食品の誕生で、見た目が重要。スーパーマーケットは陳列の見せ方、環境・人体の影響から自然志向、ベータ―カロチン。ネットスーパーの写真は食品サンプル、SNSでは情動を引き起こすことが主目的