皆さんかまどを見たことありますか。本書は狩野敏次がかまどについて描いたものです
カマドの歴史
カマドは弥生時代後期から原型らしきものが作られ、炉の中に土製支脚を置いたのが類カマド、弥生期渡来人による作り付けと移動式カマドが持ち込まれ、類カマドを吸収全国に普及した。米は煮て食べ特別な日は蒸した(日常は作り付け・祭祀は韓カマ)。平安時代は炊飯は土間にある五徳やカマド、汁物・煮物・焼き魚は炉で調理するようになる。祭祀の場が屋外から屋内化し、祭祀用カマドも移動、韓カメは日常に転用した。近世にになると一か所で座って管理する為連続カマドが作られた。台所の近代化は明治から、ガス釜発売、改良カマドの登場、農村のカマドの改良は戦後
カマドと女性
原始的なカマドは3個の石で作られるが、それが火のくぼみ、女性性器に関連。カマドは神へ料理をする以外に出産の産湯を沸かすのに使用。「イザナミ」が火の神「カグツチ」を生んだためホトを焼かれ死ぬ神話から、火は女性の所有・カマドは女性の象徴となった
カマドの境界
火があの世に属することから、カマはあの世とこの世の境界。ヘツイは日本古来のカマド・大陸からカマドが持ち込まれるとカマドが一般化・ヘツイは俗語となる。クドは煙だし穴(荒神窓)、祖語はホド(炉の中心焚く部分)であの世とこの世の境界であった。納戸の鍵穴は子供を設ける空間を意味します
カマドと地形
鎌倉は三方閉ざされ、一方開かれているためカマドに似ている。カマドの地名は海岸に多いが、奈良盆地の外鎌は、山が迫り、谷の入口があることによる。火山の噴火口、洞窟、渓流の淵、滝壺もカマドに似ているからであり、淵の伝説に渦巻きががあるのは、この世と水界を結ぶ回路と考えられるため
カマドと水界
「東北カマ神信仰の源流上」と「日本昔話通観」に水界に出自を持つ醜い子供が富をもたらし、カマド神で祀られる。「護法童子」にはカマド神と水神の性格があり、「河童」もカマドの上を住処、農作業を手伝ってくれた話もあります
カマドと大地
田畑以外は山が宝庫、カマドは山のミニチュア、山は大地のエネルギーが噴出したもの、カマドはエネルギーを凝縮したものであり、大地の上に作られたもの。年末年始の庭竈の風習は、火の更新が背景にあり、元々は屋外の行われました
まとめ
カマドは渡来人が持ち込んだもので、在地の技術を吸収、全国普及した、日常と神事、火と女性・出産から境界・地形・水界・大地へと踏み込み、日常生活を見直す機会を与えてくれます