皆さんはサウジアラビアてどんな国でと思います。本書は中東調査会高尾研究員がサウジアラビアを宗教・国家・社会から描いたものです
イスラームの世界観
イスラームはムハンマドがアツラーの啓示を受け、人々に伝えたことから成立、ビジュラ暦はイスラームに則った社会を形成することムハンマドの死後、4人に政治社会の指導者の役割を継承、聖典・クルアーンとスンナが典拠、イスラム社会では時代・場所で正しいイスラームの回答異なり、宗教の枠組みを超えて人間社会のあらゆる層を包括する。
サウジアラビアの歴史
イブン・サウードは正しいイスラームの啓示活動していたイブン・アブドラド・ワッハーブを思想的後見人として建国。政教分離、正しいイスラームは神の唯一性、首都リアド、アラブでは後発国家、第一次王国で拡張とワッハーブ主義の越境、オスマン帝国メッカ奪回によりサウード家敗走、第二次王国はリアド奪回、内紛でサウード家亡命、第三次王国はクエートとイギリスの協力でリアド奪回・三度王国
国家を支える宗教界
シャイフ家にどのような権威があるか。ビジャーズ地方のシャリーフ・預言者とサウード家でワッハーブ主義で協議できずビジャーズ地方を制圧したことがある、その後、サウード家はメッカを制圧しシャリーフを一掃し権威確立、しかし対米関係と石油発見は脱ガラパゴス化を促し、正しいイスラームの社会形成の影響を警戒、ウラマー機関として、ファトワー発布・宗教監督委員会設立。ファイサル国王は最高ウラマー委員会設立し、建国神話の担い手から職能集団に変えた。特殊な役割として人々を取り締まる宗教警察・勧善懲悪委員会があります
王室と権力
国王の権限は、皇太子の任免、司法・行政・立法の決定権、首相を務める、閣僚任免に及ぶ。王族の影響力として、ワリード・イブン・タラール王子のビジネスパーソンへの道とスルターン・イブン・サルマーン王子の宇宙飛行士がある。サウジアラビアはイスラームを国教とし、あらゆる法律は、クルアーン・スンナに抵触してはならぬとされてきたが、近年政教依存体制がゆらぎ、開放政策がとられている。サウジアラビアはイスラムの盟主を目指しつつ、周辺諸国と伴に湾岸という新興地域を確立しました
石油がもたらしたもの
石油ショックの発端は中東戦争、イスラエルとパレスチナとの戦いで支援したエジプト・シリアが撤退。この時期サウジアラビアはアメリカと同盟、石油の安定供給、新たなテクノクラート台頭、サウジアラコム誕生。石油は資源、収入は国庫、外国人労働者問題
を抱えました
過激主義の潮流
①サウード家の征服に協力した遊牧民・イフワーンと国王の支配地域をめぐる争いでイフワーンを壊滅させた。聖モスク占拠事件でサウジアラビアは背教者の汚名を着せられた
②エジプトで誕生したムスリム同胞団を湾岸諸国は受入れたが、サウジアラビアは政治・宗教力を持つことは認めなかった。湾岸戦争で多国籍軍を招き入れ、イラクと戦う姿勢から「サフア」グループ政治改革要求
③ウサーマ。ビン・ラーディン「ムスリムの土地を占領する異教徒に対し武器を取って戦おう」のメッセージはアメリカ批判に移った
変革に向かう社会
イスラムとサウジアラビアは女性差別を受け政治議題、外国人労働者の取り締まり女性の社会進出です。大きく転換させたのがサルマーン国王の経済改革「サウジ・ビジョン・2030」一般女性の各種規制が大幅緩和、観光事業は、「マダーイン・サーレハ」世界遺産、ナバディア人の遺跡はイスラム以外の文明であり注目されている
まとめ
サウジアラビアは正しいイスラームを思想的根拠にサウード家が建国、宗教と政治とは一蓮托生であります。後発地域からの出発と湾岸諸国の誕生が盟主に押し上げました