本書は世界を席巻するK-POPがいかにして形成・発展してきたのかのプロセスを解明したものである、著者は佛教大学大学院後期博士課程修了、韓国学中央研究員など経て立命館大学講師、専門は韓国研究、K-POP研究家、
K-POP前史ー韓国大衆音楽の誕生と発展
①韓国大衆音楽成立への胎動、ポピュラー音楽の誕生、アメリカにおける新しい音楽の形成、開港期朝鮮における西洋音楽の受容、音楽をめぐるせめぎあい、レコードの登場、米レコードの発展と海外進出、蓄音機・朝鮮へ、レコード販売の始まり、②植民地近代と韓国大 衆音楽の誕生、朝鮮植民地化と「文化政治」、朝鮮の植民地近代、日本のレコード業界再編レコード会社の朝鮮進出とラジオ放送開始、大衆音楽の時代へ、「親日歌謡」と「軍国歌謡」、朝鮮の解放と分断、韓国政府樹立後の大衆音楽の変化、③スター歌手の時代ー南珍と羅勲児、テレビの時代へ、エルヴィス・プレスリーの衝撃、「韓国版エルヴィス・プレスリー」南珍、羅勲児とのライバル対決、60~70年代の韓国政治、朴正煕政権による規制、経済発展の矛盾と韓国の若者たち、社会に抵抗するロックとフォークの勃興、「浄化対策」と若者たちの音楽、④アイドル文化とダンス音楽ー消防車の登場、朴正煕暗殺と全斗煥政権の誕生、「3S政策」とカラーテレビの普及、民主化運動と「民衆歌謡」、李秀満の渡米とSM企画設立、ビデオの時代と音楽、マイケルジャクソンとミュージックビデオブ―ム、へッドフォンステレオとCDの普及、ジャニーズ事務所の成長と少年隊の衝撃、韓国初のアイドルグループ・消防車、消防車の剽窃疑惑と「韓国のマドンナ」金緩宣、20世紀のトランスナショナルな文化の流れ、
戦後日韓関係と「韓国ブーム」ー「韓国といえば演歌の時代」
①サンフランシスコ講和条約と日韓交渉の開始、交渉の難航と久保田発言、政治的決着へ、日韓条約と残された課題、60年代後半~70年代前半の日韓交流、在日韓国人社会と韓国大衆音楽、②80年代日本の「韓国ブーム」、李成愛の日本デビュー、「韓国ブーム」の多様な展開、「平凡パンチ」に「一冊まるごと韓国特集」、買春ツアーへの批判、「韓国ブーム」と「日韓新時代」、韓国民主化の進展と「韓国ブーム」③「韓国といえば演歌」ー趙容弼・金蓮子の紅白出場、「演歌の源流は韓国」、アジア=演歌?1989年の紅白歌合戦、韓国での趙容弼、趙容弼の日本デビュー、演歌歌手としての趙容弼、趙容弼の紅白出場、金蓮子の日本デビュー、韓国のアイドル桂銀淑・演歌歌手に、「韓国人が歌う演歌」ブームの意義
K-POPの誕生と越境ー民主化・ネット社会・韓流
①闘う大衆音楽ーヒップホップの隆盛とソテジ・ワ・アイドゥル、ヒップホップの隆盛、ヒップホップの黄金時代と社会的メッセージ、ボビー・ブラウンとMCハマー、韓国ダンス音楽の聖地「ムーンナイト」、動き出した李秀満、ヒョン・ジニョンのデビューとSM企画の危機、ソテジ・ワ・アイドゥルのデビュー、「文化大統領」の社会的メッセージ、急成長のツケ、ギャングスタ・ラップ「時代遺憾」をめぐる検閲、ヒップホップ・ファッションへの攻撃、ソテジ・ワ・アイドゥル解散と検閲の廃止、ダンス音楽の全盛期、男女混合グループやソロ歌手の人気、②K-POの誕生ーH・O・Tとアイドル第一世代、李秀満の新たな挑戦とSMPの確立、H・O・Tの成功、K-POPアイドルの誕生、H・O・TのライバルSECHSKIES,ヤン・ヒョンソクのYG設立、パク・ジニョンの事務所JYP、三大芸能事務所の成立、③急速なIT化と変化する韓国音楽のカタチ、IMF経済危機の衝撃、IT政策の急整備、コンテンツ産業の振興、音楽産業を直撃したファイル共有サービス、FAN・CAFEに集うファンたち、④変化する東アジア、越境するK-POP、改革開放と「港台」文化の流入、韓中の国交樹立、中国での韓国ドラマ放映、アン・ジェウクの中国進出、クローンの中国進出、NRGの中国進出、H・O・Tの中国・台湾同時進出、H・O・T北京単独公演、日韓パートナーシップ宣言、エイベックスと沖縄アクターズスクール、第一世帯女性アイドルグループSES、日本で苦戦するSES,BoAの日本進出とエイベックスとの連携、「J-POPの歌手」BoA,ピによるアメリカ進出への挑戦、
ソーシャルメディア時代のK-POPブーム
①少女時代、KARA人気と日韓の外交的葛藤、東方神起の登場、東方神起の日本進出、少女時代の日本進出と第一次K-POPブーム、東方神起と少女時代の違い、スマートフォンとK-POPの拡散、第一次K-POPブーム、BIGBANGの先見性、「強い女性」像を体現した2NE1,K-POP全盛の時代へ、李明博大統領の竹島訪問と2012年紅白、「嫌韓」と「陣地戦」②TWICEの日本進出と「戦後最悪の日韓関係」、ミモサ・K-POPスターを目指して、TWICEの日本進出、BTS・BLACKPINKの日本への進出、「戦後最悪の日韓関係」のなかのK-POPブーム、③コロナ禍と日本発K-POPグループ,NIZIU、新型コロナの拡散と第4次韓流ブームの到来、コロナ時代のオアシス「虹プロ」、「日本進出」から「日本発」へ、「嫌韓」とコロナの時代を超えて、
世界化するK-POPーBTS成功の秘密
①越境するK-POPーアジアから世界へ、中華圏へと越境した第一世代、日本進出の成功ーBoAから第二世代へ、多国籍化する第三世代、第三世代によるYOUTUBEの活用、②BTS成功の背景ーメッセージ性と異種混淆性、BTSの成功、純粋でストレートなメッセージ性、異種混淆性が音楽文化を強くする、③世界がもたらしたものー「分断の時代」の大衆文化、「分断の時代」を生きる、なぜ人々はK-POPを聴くのか、
まとめ
①K-POP前史、②戦後日韓関係と「韓国ブーム」、③K-POPの誕生と越境、④ソーシャルメディア時代のK-POPブーム、⑤世界化するK-POP、大学時代にソウルでK-POPに出会い、「歴史のなかのK-POP」構想、本書はK-POP激動の100年の物語