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哲学

労働の思想史 中山元 書評

本書は古代ギリシャから現代まで労働と仕事ついての考え方の歴史を調べたもの、著者は東京大学中退、哲学者/翻訳家、哲学サイト「ポリロゴス」主宰、

働くという営みの分類について、ハンナ・アーレント

わたしたちはなぜ働くか、働くことの二つの意味、労働・仕事・活動、古代ギリシャにおける労働・仕事・活動、

原初的な人間の労働、ジャン・ジャック・ルソー

①原初的な労働とは、ルソーの「自然人」、②旧石器時代の労働と芸術、石器の発明、労働と技術および言語、芸術と宗教の誕生、個人から集団へ、③新石器時代の労働、新石器時代の始まり、定住による変化、菜園での労働、都市の形成と余剰生産物の蓄積、王権の誕生と文明社会の端緒、

古代の労働観、アリストテレス

①古代の社会構造、搾取する国家と民主的な国家、ギリシャにおける労働の肯定性と否定性、②古代ギリシャの行為と労働、アレントの分類との違い、三種類の人間像、③ヘブライの社会と労働、聖書と労働、

中世の労働観、ヌルシアのベネディクトウス、

①修道院と労働、奇妙な混淆、労働の意味の変容、労働のもたらす利点、修道院における技術開発、②新たな展開、12世紀頃の中世社会の発展、修道院の富の蓄積、

宗教改革と労働―ジャン・カルバン

近代の労働思想の諸側面ー近代の労働思想の三つの局面、①宗教改革と労働、教会から個人へ、労働を通じた救済、ルターと召命の思想、カルヴィニズムの労働観、②労働の聖化、世俗での労働の聖化、プロテスタントにおける労働の合理化、ヨーロッパにおける労働の倫理化、③労働する主体の構築、資本主義の労働にふさわしい労働者の構築、従順な身体、閉鎖空間・時間、配置と監視、時間的な配置、精神の訓練、

経済学の誕生ーアダムスミス

①重商主義と重農主義の労働論、重商主義と重農主義、②アダム・スミスの登場、スミスのエゴイズムの理論、スミスの労働価値、スミスの「生産的な労働」と「非生産的な労働」の区別、スミスの労働価値説の問題点、

近代哲学における労働ーゲオルグ・ヴィルヘルム・フリードリッヒ・ヘーゲル

①ホッブス第一歩、公共善としての労働から欲望を充たす労働へ、ホッブスの人間論、法と国家ー社会契約の必要性、②ロックの貢献、労働から所有が生まれる、③ヒュームによる変容、「黙約」による社会の構築、④ルソーの労働論、労働が生み出した不平等と法・社会との関係、⑤カントの労働と遊戯、利己的な非社交性による労働、「輝かしき悲惨」、教育としての労働、労働による道徳的な教化、⑥ヘーゲルの労働論、意識のはじまり、自己意識の弁証法、承認を求める闘争、道具の弁証法、労働の弁証法、

マルクスとエンゲルスの労働論ーカール・マルクス

①人間にとっての労働の意味、エンゲルスの労働論、マルクスの労働論、②マルクスの労働価値説、労働過程論、③労働による疎外、搾取、4重の疎外、労働の疎外の廃業、アソシエーション、

労働の喜びの哲学ーアンリ・ド・サン=シモン

①フランス革命と産業者階級の理論、労働者の「階級」概念について、シエイスの第三身分の理論、サン=シモンの産業者の理論、②オ―ウェンのユートピア、オーウェンの共同体、ユートピア的な共同社会プロジェクト、労働者の生活改善を目指して、私有財産・宗教・結婚制度の批判、③シャルル・フーリエの労働の喜び、産業主義批判、産業界の転倒、フーリエの改革案、④労働の喜びの哲学、ディーツゲンの宗教としての哲学、ゴータ綱領とマルクスの批判、シェーラーの労働論、

労働の悲惨と怠惰の賛歌ーシモーヌ・ヴェーユ

①怠惰の賛歌、ラファルグの怠惰の賛歌、ラッセルの怠惰論②シモーヌ・ヴェーユの労働論、工場労働の体験、工場労働の弊害、ヴェーユの試み、ヴェーユの神秘主義、③現代の労働システムとその変容、テーラー・システム、ヴェーユによるテーラー主義の分析、フォーディズム、フォーディズムの蹉跌、新たなモデル、

労働論批判のさまざまな観点ーフリードリヒ・ニーチェ

①ニーチェによる労働批判、ニーチェの主奴論ー奴隷のルサンチマン、聖職者の役割、自然の侵害と人間の幸福、②フロイトにおける応用、文明と労働、労働の両義性的な意味、③ハイデガーの技術論、挑発する労働、世界像の哲学、④啓蒙の弁証法、人間内部の自然の否定=ホルクハイマー/アドルノ、⑤生産至上主義の限界、生産の鏡、

グローバリゼーションの時代の労働ーイヴァン・イリイチ

①シャドーワーク、賃金の支払われない二種類の労働、シャドーワーク批判、②感情労働、感情労働とは、感情労働の要求するもの、表層演技と深層演技、感情の働き、ネグリ/ハート「帝国」における情動労働、依存労働、承認労働、市民労働、キグエコノミー、③AI時代の労働、ロボットが代替する分野、機械が奪う人間の労働、最後に労働が人間活動のすべてを覆う、

まとめ

①原初的な人間の労働②古代の労働観③中世の労働観④宗教改革と労働⑤経済学の誕生⑥近代哲学における労働⑦マルクスとエンゲルスの労働論⑧労働の喜びの哲学⑨労働の悲惨と怠惰の賛歌⑩労働論批判のさまざまな観点⑪グローバリゼーション時代の労働、私たちは労働という営みのうちに新たな技術と自己を作り出す、