本書は気候変動が深刻化する状況下での森林の取り扱いを考えたもの、著者は京都大学大学院博士課程修了、岡山大学名誉教授、環境省・農水省の委員を歴任、
多発する森林火災ー失われ続ける森林
①森林火災は天災か?人災か?国破れて山河あり?日本の山火事、②乾燥地の大森林火災、カリフォルニア州で2020年に大火災、山火事とは、コアラが逃げ惑った森林火災、③人が関わると湿潤熱帯でも大火災が起こる、アマゾンの火事、インドネシアの泥炭湿地林が燃える、火事跡の盗伐、④火の大陸はもっと危険が潜んでいる、アフリカの熱帯雨林は燃えていない、気候変動と森林火災、焚火で芋を焼く、
シベリアタイガの危機ー温暖化の森林への影響、
①シベリアの大森林、タイガの火事は燃え続ける、東シベリアは平地で寒い、タイガの樹種構成、明るい平地林で道に迷う、②永久凍土が支えるタイガ、永久凍土層と活動層の役割、タイガは乾燥しているのか?タイガは寒冷なのか?③温暖化で何が起こる、シベリアの温暖化、地球温暖化の現状,植生は寒冷地へシフト、二酸化炭素の施肥効果、降水量は増える?④森林生態系のストレス耐性、いったん崩れると元に戻りにくい生態系、永久凍土を失ったタイガは草原になる、
砂漠化と森林ー森林の機能と人々の暮らし
①森林が果たす多様な役割、公益的な機能、経済的な機能、②乾燥地の環境問題、乾燥地と森林、砂漠化とその原因、よかれと思ったことが砂漠化を生む、③木材の利用が進んでいる、木材の消費量、木材が不足する、いろいろな木材の使われ方、④炭も薪もたくさん使われる、燃料の需要,薪炭材、炭は軽くて長く燃える、
脆弱な熱帯林ー炭素隔離と森林利用
①穏やかな環境が創り出した森林、熱帯と熱帯林、生物多様性、北でも南でも・蚊はどこにでもいる、②炭素循環、地球全体の炭素循環、森林の役割、熱帯林の炭素循環、干ばつの炭素収支への影響、③熱帯林が失われていく、熱帯林の減少、森林破壊の原因・伐採、焼畑は森林を破壊するのか?雨が降り始めれば宿舎に戻ってバナナを食べる、④樹木が環境に適応するための特性、樹液の流動するメカニズム、葉の形態と落葉、樹幹の特性、マングローブ、巨大な津波を防いだマングローブ林、
変貌する日本の森林ー持続的な利用をめざして
①温暖化が日本の森林に与える影響、日本の森林帯、落葉広葉樹林、照葉樹林、気候の変化、温暖化の影響、ブナ帯の移行、できたての山岳道路とエレベーターのようなロープウエイ、②里山の危機、放棄された里山林、里山と人の関わり、マツ林がなくなる、マツ林の保全・管理策、ナラの集団枯損、マツタケを楽しむ、③どうやって里山を管理するか放置すれば山は崩れる、どんな森林を求めているのか、
これからの森林管理ー林業が拓く森林の可能性
①気候変動対策への取り組み、温室効果ガス排出削減目標、日本の排出削減目標、②林業による温室効果ガス排出削減、林業とは、林業による炭素隔離、③日本の林業を取り巻く環境、国内材生産と外材輸入の推移、国産材生産体制の劣化、森林の炭素吸入と排出量削減、④森林の統合的管理、森林の構造改、経営の統合、
まとめ
①多発する森林火災ー失われ続ける森林、②シベリアタイガの危機ー温暖化の森林への影響③砂漠化と森林ー森林の機能と人々の生活、④脆弱な熱帯林ー炭素隔離と森林利用、⑤変貌する日本の森林ー持続的な利用をめざして、⑥これからの森林管理ー林業が拓く森林の可能性、気象変動深刻下で森林の森林の取り扱いを考えたい、関わってみると複雑で厄介だが、味わいがあり、環境対策で頼りがいがある、