混迷の世の中、本書は拠り所として村を描いたもの、著者は東京教育大学大学院博士課程単位取得退学、大手前大学大学院教授、日本社会学会会長歴任、
村の知恵とコミュニティ
①村の知恵、つきあいという人間関係、コミュニティは智慧の発行体、コミュニティの必要性、②コミュニティの構造、なわばりと居場所、他者への配慮、孤立とあたたかみ、村がコミュニティの典型、
村とローカルルール
①村とは何か、行政村とうちの村、地域経営の単位としての村、②「強制」と「つとめ」③村のローカルルール・作法③生活組織としてのコミュニティ、町内会、小学校区単位の地域組織強化、
村のしくみ
①村のタテの構造と関係、家格と年齢、目上・目下の発想、親分・子分、庇護と奉仕、②村のヨコの関係、三世帯が混在、孫は遊びを通じて現実と幻想の世界を行き来、祖父・祖母世帯は子供たちに技や作法をさりげなく教える、互助組織、信仰的な講の存在、③人間と自然採取と開墾、人間参加型自然、山の保全、肥料、村の空間構成は居住・田畑・山・水、山と水、自然と争わない、④村での仕事と権利、トレードオフと丁寧な話し合い、決着はリーダー・名主、暮らしを営む、共同労働と共同の組織・共同占有、役割配分とリーダーシップ、文化的リーダー、利用権に対する配慮・フェイス.トゥ.フェイスの現場、
村のはたらき
①交換不可能性とエゴイズム、村の人間には交換可能な人間はいない、顔見知り・得意と不得意・自腹を切る、話し合って落としどころ・寄り合い、②弱者救済、家族における弱者救済・三世帯家族の長所・やわらかい三世帯家族・村における弱者救済、弱者に与える特権・子供たちも働く、③災害対策、地震への対応・村での水害・許されない失敗ー火事、④村の教育、親分教育と村人教育・平凡教育と非凡教育・平凡教育の大切さはサザエさんのカツオの変身、平凡教育こそ日頃の暮らしに大切にするもの、学力という記憶力競争の意味は?
村における人間関係
①あいさつはとても大切なもの、あいさつの型は「こないだは」「おたっしゃで」「今日はよいお天気で」「さて今日伺いましたのは」、呼びかけ・もしもし、②不公平を嫌う、損をしない、田んぼの中の中学校は綱引きの結果、割地制度で自分の開発地が消滅、不公平は嫌われる、③話し合いと意思決定、意志決定のかたちは寄り合いと全員一致、寄り合いは相互納得・エゴイズムがほどよく抑制、全員一致制は村人の実利と結びついた、きわめて常識的合理的考えが支配、根回しが不可欠、
村の評価と村の思想
①村の意図的消滅論、村は個人の自由を束縛するものだから消滅させるべき、近代文学における個の自立、島崎藤村の「破戒」や「家」、夏目漱石の「私の個人主義」、②村の自然消滅論・近代化が進めば進むほど村の消滅はあやしい、実際の農村は他の組織に比べて最も強く権威的で独裁的とはいえない、戦後は自作農を中心とした農村、土地を基本に置く農業は資本主義と異なった論理が成り立つ、近代技術の導入、プラスとマイナス、過疎化の危機、③society 5.0 と異なる方向へ、society 5.0的発展論は村に対し農村地帯の安い労働力に期待、当たり前の平たい人間関係、共和主義は自分たちで社会を作っていく考え、反君主としての共和主義、村は共和主義的、村の知恵をいかす、
まとめ
①村の知恵とコミュニティ、②村とローカルルール③村のしくみ、タテとヨコ、仕事と権利、④村のはたらき、弱者救済、災害対策、平凡教育、⑤村における人間関係、あいさつ、不公平を嫌う、話し合いと意思決定⑥村の評価と村の思想、村の意図的消滅論と自然消滅論society 5.0とは異なる方向へ、村の価値を活かしたい、