西洋建築の様式論を日本建築に接続することが本書の目的、横浜と近代~現代の事例から様式論を展開、西洋の古典主義と装飾に関する論考収録、日本国内の柱頭を詳解、日本の様式建築から見方が変われば幸いです、共同執筆で五十嵐太郎は東北大学院教授・建築史、菅野裕子は横浜国立大学院特別教員・西洋建築史、
観察編1=日本近代の洋式建築をひもとくー横浜
1シークエンスの中で読む古典主義建築のデザインー日本銀行本店本館、コの字を閉じる構成、2層構成、正面障壁の正門、調和の中庭、正面ファサードの隠された構成、コリント式柱頭の葉のモチーフ、ドリス式オーダーのエンタブレッチュア、フリーズに打たれたボルト、日本における最初期の古典主義建築の到達点
2序列のあるデザイン要素ー旧横浜正金銀行本店本館、明治横浜のランドマーク、入れ子になった神殿のモティーフ、正面ファサードのバリエーションとしての側面、正面から全体へ広がる展開、多様なモティーフの配置、組み合わせられた2つの構成、遊び心あふれる3階の窓、関東大震災で幻となった3つのオーダーの構成、コリント式柱頭の葉のデザイン、圧倒的存在感を示す外観、
3引用されたイメージを読むー旧英国総領事館、パラディアン・モティーフのある正面ファサード、2本のコリント式円柱と小さなデンティル、水平材に重なる窓、2つの顔を持つ建築、ペディメントの巧みな配置、イギリス邸宅風の側面ファサード、ヴォールト天井と凱旋門のイメージ、日本の玄関口に建つ隠された意図、ファサードに潜む棘
42つのイオニアー旧三井銀行横浜支店と旧露亜銀行横浜支店、古代神殿の壮麗さをみせる三井銀行、新古典主義のイオニア式柱頭、露亜銀行のイオニア式柱頭に見られる円盤型渦巻立体感あるファサード、2棟の建築が見せるもの
5日本のマニエリスムー旧安田銀行横浜支店、蓮をモティーフにした逆さの柱、柱礎とエンタブレチュア、ゴツゴツ仕上げの石の壁面、「切断」のデザイン手法、見事な日本のマニエリスム
インターミッションー日本橋の装飾、柱から古典主義を学ぶ、手擦り子を比較する、日本橋における和風の装飾、不滅のキーストーン、玄関の華やかな柱頭、三越本店のメダイヨン、精巧なペディメントと家紋、グリークリバイバルとしての三井本館、高島屋本館の和洋折衷、軒下の細部に注目する、スタ-ツ日本橋のポストモダン、フィリップ証券と山二証券の自由な意匠、
2様式論=建築を思考するフレームワーク
1擬様式を考えるー開智学校、擬洋風とは何か、開智学校の和洋折衷、材料を越境するかたち、
2時間を操作する複製建築ー三菱一号館、様式建築のファサード保存、三菱一号館の完全な新築による復元、隔世遺伝と式年造替
3ポストモダンと西洋の様式、建築のサンプリング、ルネサンスにおける引用、水戸芸術館を読み解く、弧風院のマニエリスム、
4様式における日本的なもの、和様化か、大仏様か、伊藤忠太の世界、様式を折衷する、磯崎新の空中都市、数寄屋とポストモダン、飛雲閣から直島町役場、
h3歴史編=西洋の古典主義と装飾
1古典主義とゴシックス、反復を繰り返す古代の様式美、チャンピオンとしてのパルテノン、古典主義の意味、パンテオンと都市の巨大建築、キリスト教の建築、ロマネスクとヨーロッパ、到達点としてのゴシック、ゴシックリバイバルから近代へ、
2反復する古典、古代再生としてのルネサンス、アルベルティという建築家モデル、ルネサンスの建築論、ルネサンス建築の評価、マニエリスムとは何か、マニエリスムの再評価、バロックという躍動分裂する中心としての楕円、ボッロミーニ、バロックの多様性、相対化される古典主義、近代の起源としての新古典主義、
3装飾の排除から復権へ、建築の装飾とは何か、空間の発見、様式の黄昏、装飾の否定と再考、現代建築における装飾、
4図解編=柱頭の開設
1日本近代の柱頭の表現、旧東京帝室博物館 奉献美術館ードリス式、旧横浜正金銀行本店本館ーイオニア式、旧三井銀行横浜支店ーイオニア式、旧露亜銀行横浜支店-イオニア式、旧横浜正金銀行本店本館ーコリント式、旧帝室奈良博物館本館ーコリント式、ビーティ邸ーコリント式、三井本館ーコリント式、日本銀行本店本館ーコリント式、旧川崎銀行横浜支店ーコリント式、旧東宮御所ーコンポジット式、旧明治生命ーアバクスと渦巻、旧東京科学博物館本館ーアバクスと渦巻、旧中央停車場ーアバクㇲと渦巻、旧安田銀行横浜支店ーアバクㇲと蓮弁装飾、旧帝国奈良博物館本館ーアバクㇲと渦巻
2古典主義建築のオーダー、ドリス式柱頭、トリグラス、イオニア式柱頭、コリント式柱頭
まとめ
本書は「辰野金吾と日本銀行」に寄稿したもの、「横浜の近代建築に見る魅力」講座資料、柱頭紹介は横浜国大の周穎琦と福島真純両氏のデッサン力が元となっています、