ハプスブルク王朝は中世から20世紀初頭まで続いた、本書は名画からハプスブルグ王朝の一端をうかがう試みである、著者は作家・ドイツ文学者、専門はドイツ文学、西洋文化史
はじめにー青い血の一族、神聖ローマ帝国の威光、皇帝位をめぐる戦い、
アルブレヒト・デューラー「マクシミリアン一世」
騎士にして芸術家、黄金に輝く王、逝去直後の絵が語るもの、デューラーの粘着質・金銭の拘り、「汝は結婚すべし」・婚姻外交、
フランシスコ・プラディーリャ「狂女フアナ」
彷徨う葬列、「フアナ・ラ・ロカ」(狂女フアナ)、血で受け継がれる悲劇・邪魔者扱い、恋の始まりと嫉妬、死まで続いた幽閉、
ティツィアーノ・ヴィチェリオ「カール五世騎馬像」
最多の肩書を持つ皇帝・広大な領土、ローマ略奪、記念碑的大作、母の死と引退・帝国をスペインとオーストリアに分割継承、
ティツィアーノ・ヴィチェリオ「軍服姿のフェリペ皇太子」
「一種異様な性的魅力」、イングランドとの婚姻、不吉な予言、出来の悪い息子、
エル・グレコ「オルガス伯の埋葬」
「あのギリシャ人」、250年前の肖像、日の沈まぬスペイン・衰退の予感、宗教画への傾斜、
ディエゴ・ベラスケス「ラス・メニーナス」
王と画家の蜜月、「ラス・メニーナスの謎」(宮廷の侍女たち)、女王承認の予告絵画、スペイン王国の斜陽、スペインの終焉とフランスの台頭、
ジュゼッペ・アルチンボルド「ウエルトゥムヌスとしてのルドルフ二世」
一族最高の変わり者、魔術にはまった教養人、神話の視覚化・宮廷肖像画、30年戦争の勃興・カトリック対プロテスタント、
アドルフ・メンツェル「フリードリヒ大王のフルート・コンサート」
男だけのコンサート?帝国を担った皇女・マリア・テレジア、悪魔と化したフリードリヒ・オーストリア継承戦争、マリア・テレジアは忌み嫌う、敵までも惹きつける王、革命への道程、マリアテレジアは婚姻政策でハプスブルグ王朝を守る、フランス革命近づく
エリザベート・ヴィジェ=ルブラン「マリー・アントワネットと子どもたち」
運命的な政略結婚・オーストリアとフランス、不吉な結婚式・マリーアントワネット、若き故の放蕩、描かれた死の匂い、ギロチンの決着、
トーマス・ローレンス「ローマ王(ライヒシュタット公)」
ナポレオンの面影、聖なる血の駆け引き・生まれてすぐローマ王の称号、高貴なる囚人として半監禁状態、親子のすれ違い・ライヒシュタット公として不幸な生涯ウィを終える、
フランツ・クサーヴァー・ヴィンターハルター「エリザベート皇后」
母の愛と長期政権、ゾフィ大公妃と息子ヨーゼフ、ただ一度の反抗・エリザベートとの結婚、絵は完璧な美女エリザベート・嫁姑・後継者・暗殺、ヨーゼフの惨憺たる私生活、間近に迫る帝国の終焉。最後の皇帝に、
エドゥアール・マネ「マクシミリアンの処刑」
優秀な兄の陰でマクシミリアン、27歳で隠棲、絶たれた最後の希望「メキシコ皇帝」、画家の告発ーハプスブルグ帝国皇帝の弟がメキシコで殺害「マクシミリアンの処刑」マネ・感情移入を拒否する絵画、
まとめ
①アルフレヒト・デューラー「マクシミリアン一世」、②フランシスコ・プラディーリャ「狂女フアナ」、③ティツィアーノ・ヴィチェリオ「カール五世騎馬像」、④ティツィアーノ・ヴィチェリオ「軍服姿のフェリペ皇太子」、⑤エル・グレコ「オルガス伯の埋葬」、⑥ディエゴ・ベラスケス「ラス・メニーナス」、⑦ジュゼッペ・アルチンボルド「ウエルトウムヌスとしてのルドルフ二世」、⑧アドルフ・メンツェル「フリードリヒ大王のフルート・コンサート」、⑨エリザベート・ヴィジェ=ルブラン「マリーアントワネットと子どもたち」、⑩トーマス・ローレンス「ローマ王(ライヒシュタット公)」、⑪フランツ・クサーヴァー・ヴィンターハルタ―「エリザベート皇后」、⑫エドゥアール・マネ「マクシミリアンの処刑」、歴史は人物の面白さに尽きる、強烈に個性的で破天荒、